2019/01/13 11:00

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

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 人間の感情には、それを表す言葉があるものと、ないものとがある。

 たとえば「愛する」とか「怒る」とか「感激する」とかは、あるほう。

 一方、なにかがついに終わって「辛いけれどホッとしている」とか、人から陥れられて「軽蔑のあまり無気力になる」とか、褒められて「うれしさになぜか悲しみも混ざる」とかには、名前がない。

 こういう感情をひとつひとつ掬(すく)いあげて名付けていくのが小説の役割なのだと思って、わたしは小説家をやってます。

 さ、さて。この作品は、民族間の憎しみや宗教の違いをテーマにした、“歌って踊るインドの社会派エンターテインメント映画”なのだ。

 パワンは田舎町から都会デリーに出てきた青年。正直者で、敬虔なヒンズー教徒だ。ある日、口のきけない迷子の少女を拾った。親を探し、世話もしていたところ、とんでもない事実がわかる。少女はなんとパキスタン(前世紀半ばからインドとの戦争を繰り返す隣国)人で、異教徒、つまりイスラム教徒だったのだ。

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