2019/07/22 18:15

「僕を産んだ罪」で12歳の少年が両親を訴えた――「存在のない子供たち」を採点!

©2018MoozFilms/©Fares Sokhon
©2018MoozFilms/©Fares Sokhon

〈あらすじ〉

12歳のゼイン(ゼイン・アル=ラフィーア)は、両親と兄弟姉妹とベイルートの貧民窟に暮らし、学校にも行かずに毎日路上で働かされていた。唯一の心の支えである大好きな11歳の妹のサハルが、強制的に結婚させられると、ゼインは怒りに突き動かされて家を飛び出す。エチオピア移民の女性ラヒル(ヨルダノス・シフェラウ)は、仕事と食べ物を求めて路上をさすらうゼインを見かねて家に住まわせる。ある日、サハルの死を知ったゼインは、サハルの結婚相手を刺し、禁固5年の刑を言い渡される。出生証明書も身分証明書もないゼインは、自分を産んだ罪で両親を訴える裁判を起こす。

〈解説〉

『キャラメル』のナディーン・ラバキー監督・脚本・出演作。役柄によく似た境遇にある素人をキャスティングし、中東の貧困・移民問題に迫る人間ドラマ。125分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆圧倒的な貧困と性暴力の悪循環。宗教が救済にも桎梏にも。主役少年の愛らしさと賢さに一筋の光明。逃げ切って欲しい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆悲惨な境遇を感傷的に見ず、貧困と正対している。黒い笑いも突然噴出する。混沌を美化しなかったのが最大の勝因だ。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★凄絶な子供の現実を、殺伐とした光景の中で心情豊かに描いていて感動。本物の難民だった子供たちに泣かされます。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆現代アラブの複雑さが『自転車泥棒』や『誰も知らない』以上の苛烈さを付与した。主演の少年はスター性があり満点級。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆中東のオリバー・ツイスト、ブニュエルの『忘れられた人々』を想起するも、少年の絶望の眼差しがいつ微笑むのか見入った。

INFORMATION

「存在のない子供たち」(レバノン、仏)
7月20日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館他ロードショー
監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル=ラフィーア、アヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ、カウサル・アル=ハッダード ほか
http://sonzai-movie.jp/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年7月25日号)



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