2019/07/23 17:00

意外な人物の「特別出演」 娯楽作品だが私小説的!――春日太一の木曜邦画劇場

1965年作品(100分)/松竹/2800円(税抜)
1965年作品(100分)/松竹/2800円(税抜)

  前回 に続き、篠田正浩監督の作品を取り上げる。

 今回取り上げるのは『異聞猿飛佐助』。関ヶ原の合戦後の中山道を舞台に繰り広げられる、忍者映画である。

 徳川方と豊臣方の間での対立が深まる中で双方の忍者たちが暗躍し、誰が本当に味方なのか、それとも敵なのか。裏切っているのか、そうでないのか――。登場人物たちの本心がことごとく見えないという究極の人間不信の状況下で、味方からも疑われながら孤立無援の戦いを繰り広げる真田忍者・佐助(高橋幸治)の活躍が描かれる。

 徹底して乾いたハードボイルドタッチの映像、それにピッタリとはまった高橋のクールな面立ち。岡田英次、小沢栄太郎、宮口精二、戸浦六宏、丹波哲郎、佐藤慶、浜村純――と名前を列挙するだけでゾクゾクしてしまう、闇に蠢(うごめ)く魑魅魍魎とも言える忍者たちを演じる名優たち。全てが完璧に絡み合い、めくるめくサスペンスの世界が隙なく展開されていく。

 ――と、なんの知識ももたずに時代劇映画として観るだけでも、物凄く面白い作品だ。

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