2019/09/29 11:00

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©2018 A24 DISTRIBUTION, LLC
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 わたしは大人の言葉をあまり信用しない子供だった。言葉巧みだが、理論武装している分、嘘や不純物も多いと感じていた。だから、自分が大人になった今、「若い人に何かアドバイスを」と言われると絶句してしまう。あのころの自分なら、センセイなんて呼ばれている大人からのもっともらしい助言なんて拒絶すると思うからだ。

 さて、この映画は、SNSと一体化した日常を生きる現代のアメリカの少女をみつめる、痛みと瑞々しさに満ちた思春期成長映画なのだ。

 八年生(日本では中学二年)のケイラは、「学年で最も無口な子」に選ばれるほど内気で、親しい友人もいない。殻を破ろうとYouTubeにチャンネルを作り、発信してみたものの、再生数は〇回とか一回……。学校にもネットにも、つまり世界のどこにも居場所がなくて、静かに追い詰められていく。

 もし「ケイラに何かアドバイスを」と問われたら、答えるのは簡単だ。「学校だけが居場所じゃないよ」「広い視野を持って」と。でも、すでに広い視野を得ている大人からそんなこと言われても、なかなか厳しいよなぁ……。

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