2017/03/26 11:00

『午後8時の訪問者』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv - RTBF(Télévision belge)
©LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv - RTBF(Télévision belge)

 やっかいなのはなんだ?

「法律では裁かれない罪」を犯したときじゃないか?

 警察が捕まえてくれないからいつまでも償えない。良心の呵責からも逃れられない。だからほんっと忘れられない。

 と、そんなことが……大人になり、ある程度生きてきたなら、一度はあるだろう。それこそちいさなことも含めれば、いくらでもだ。

 ――わたしにも、ある。

『午後8時の訪問者』の主人公、女医ジェニーの場合はこうだ。時間外の午後8時に診療所の呼鈴が鳴ったが、出なかった。義務はなかったし、だいいち疲れていたから……。

 だが、呼鈴を鳴らした少女は翌日、身元不明の死体となって発見されてしまった。

 あのとき私がドアを開ければ、命を助けられたのに!

 義務はなかった、という正論では、ジェニーの良心は救われない。でも法律も、地域の共同体も、どういう形であれ彼女を裁くつもりはない。

 そこで彼女は、独自の方法で死者の身元を調べ始める。

 この罪では誰もジェニーを非難しようとしないのに、理不尽なことではたくさん怒られるので(患者から偽の診断書を頼まれ、断ったらブチ切れられて聴診器を盗まれかけるとか)、わたしならけっこうめげます。

今日の運勢

おひつじ座

全体運

伝統にまつわることにツキがあります。神社や仏閣に参拝したり...もっと見る >