2017/04/16 11:00

『作家、本当のJ.T.リロイ』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©2016 A&E Television Networks and RatPac Documentary Films, LLC. All Rights Reserved.
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 深いトラウマに口を閉ざされ、“語り得ぬ自己”を抱えたとき。人は物語(嘘)を通してしか自分のことを話せなくなる。だから嘘つきのイタい女の子になったり、或いは表現者になったりする。それは紙一重の未来なのだ。

 このドキュメンタリー映画の被写体、ローラ・アルバートの場合はこうである。幼いころ性的虐待を受け、やがて自殺防止ホットラインに電話しては少年の“声”で助けを求めるようになった。大学に進学すると、創作コースを選び、少年を語り手にした小説を書きまくった。ところが教師から「女は女の語り手で書け」と言われた途端、ピタリと書けなくなってしまった。

 三十代になり、ローラは再び筆を取る。二〇〇〇年、J・T・リロイ名義で『サラ、神に背いた少年』を出版して大ブームとなるが、男娼の美少年を主人公にしつつ“自伝的小説”と銘打ったため、メディアに姿を現すことができない。困ったローラは知人の美少女に代役を頼む。するとこれが大受け! J・T・リロイ(の代役)はセレブの仲間入りを果たす。

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