2017/05/28 11:00

『怪物はささやく』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.
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 病人も辛いが、看病するほうだってそりゃ大変だ。しかもそうは言いにくい。自分は健康なのに弱音なんて吐けないよー。

 この映画は四十七歳で病没した女流作家シヴォーン・ダウドの原案をもとに、パトリック・ネスが書きあげた同名小説をもとにしている。とある母子家庭で母が病に倒れてしまい、十三歳の一人息子コナーの生活は一変。コナーは「ママの病気は治る! 必ず、必ず!」と信じているのだが、夜毎、怪物の悪夢に悩まされ始める。

 怪物はコナーを責めたてる。「今夜から俺が物語を聞かせてやる。俺が三つ語り終わったら、おまえの番だ。おまえが“四つめの物語”を話さなきゃいけない」と。

 怪物の正体は、コナーが抱える“患者の家族として絶対に言えない本音”が産みだした幻だ。だから、コナーがママのことを思って必死で口をつぐむほど、怪物はおおきく真っ黒に育っていく。

 ところで、『100万回生きたねこ』の著者である佐野洋子さんがこんなエッセイを書かれていた。自分が病を得てから周りの人たちが優しくなった、それで病気は「暴力なのだとその時思った」と(『死ぬ気まんまん』より)。

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