2017/06/13 17:00

イランの若夫婦、妻が侵入者に襲われたことからすれ違いが……「セールスマン」を採点!

©MEMENTOFILMS PRODUCTION-ASGHAR FARHADI PRODUCTION-ARTE FRANCE CINEMA 2016
©MEMENTOFILMS PRODUCTION-ASGHAR FARHADI PRODUCTION-ARTE FRANCE CINEMA 2016

〈あらすじ〉

国語教師のエマッド(シャハブ・ホセイニ)とラナ(タラネ・アリドゥスティ)は、テヘランに暮らす若い夫婦だ。2人は地元の小さな劇団に参加しており、アーサー・ミラー原作の舞台『セールスマンの死』の稽古に励んでいる。ある日、住んでいるアパートが突然倒壊しかけたため、2人は劇団仲間が紹介してくれた賃貸物件に移り住む。公演の初日を終えた夜、先に帰宅したラナが謎の侵入者に襲われる。警察に通報して犯人に罪を償わせたいエマッドと、事件を表沙汰にしたくないラナの感情はすれ違う。エマッドは犯人が現場に置き忘れた鍵束を手がかりに、自力で犯人探しを開始する。

〈解説〉

『ある過去の行方』のアスガー・ファルハディ監督・脚本作。ある夫婦の関係に、社会が孕む問題を重ねて描く心理サスペンス。本年度アカデミー賞外国語映画賞受賞作。124分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆夫婦間の心理的なズレが的確に描かれていて引き込まれたが、終盤の(ある意味)ハデな展開に唖然、作為的すぎないか?

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆構築力は豊かだが、起承転結があからさまで、やや作りすぎ。登場人物の失策はモラル・サスペンスにあまりそぐわない。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆朝は仕事に向かう夫に出かけないでと泣き、夜は傍に来ないでと泣く妻。性犯罪に傷つく夫婦の心理と行動が興味深い。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆語りの計算に感嘆。歯痒い気持ちが宙吊りになる時間の持続に唸った。イランの女性をめぐる現在の位相も教えてくれる。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆アメリカの古典演劇とペルシャ文化を共鳴させ西洋悲劇に落とす展開。がん細胞が巣食うように思わぬ方へ誘導された。

INFORMATION

「セールスマン」(イラン・仏)
6月10日(土)より、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
監督・脚本:アスガー・ファルハディ
出演:シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリドゥスティ ほか
http://www.thesalesman.jp/

(「週刊文春」編集部)

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