2017/06/13 17:00

消えゆく焼け跡、煌めくマンモス団地。嗚無常!――春日太一の木曜邦画劇場

1963年作品(107分)/ローランズ・フィルム/3,800円(税抜)/レンタルあり
1963年作品(107分)/ローランズ・フィルム/3,800円(税抜)/レンタルあり

 旧作、特に社会派的な風刺の利いた映画を観ると、現在とは扱いが大きく変化している施設の存在に気づかされる。

 たとえば、マンモス団地。従来からの交通アクセスの悪さ、建物の老朽化、これに昨今の少子化問題が加わったことで入居者の高齢化が進んでおり、近年ではどこか寂しい「取り残された昭和の遺産」的な扱いになりつつある。だが今から五十年以上前、団地が都市に建築され始めた頃はそうではなかった。都市人口が急激に増加するようになった高度経済成長の象徴として、流行の最先端にあったのだ。

 それがよく分かるのが、今回取り上げる『彼女と彼』だ。

 製作は一九六三年。翌年に東京オリンピックを控えて東京の都市開発が急ピッチで進められていた時代だ。舞台となるのは東京郊外に新築されたマンモス団地。そこに暮らす夫婦・直子(左幸子)と英一(岡田英次)、英一のかつての同級生で団地近くのスラムで廃品回収に勤しむ伊古奈(山下菊二)、伊古奈の連れている盲目の少女、この四人を軸に物語は展開されていく。

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