2017/06/14 18:00

コブクロのバラードは女々しくも図々しくないか――近田春夫の考えるヒット

心/コブクロ(ワーナー)作詞・作曲:小渕健太郎。映画『ちょっと今から仕事やめてくる』主題歌。3代目JSBのNAOTO出演のMVでも話題。
心/コブクロ(ワーナー)作詞・作曲:小渕健太郎。映画『ちょっと今から仕事やめてくる』主題歌。3代目JSBのNAOTO出演のMVでも話題。

『心』(コブクロ)/『あなたに贈る愛の歌』(THE ALFEE)

 このわたくし、バラードだかバラッドだか何が正しい表記なのかもよく存じあげぬものだが、物心ついて以来――よほどに感情を込めていればそうなってしまうことも想像に難くないのだけれど――あの、歌手(男性の場合殊にですかね)が自身の声やらポーズに陶酔してしまうことに一切の照れた様子さえ見せず、堂々切々と歌い上げている景色てぇのを眺めるのが、まぁ割と“観客的”にダメである。

 といって66年間の我が人生、本来不得手な筈の、そうしたいかにも思い入れタップリの歌唱だというのに熱いものがこみ上げてきて仕方がないという、そんな経験が一切なかったわけでもない。

 二十代の前半、俺は一時期日劇恒例「布施明ショー」のハモンドオルガンを担当していたことがあった。当時、そうした劇場での興行は1日3回、都合1週間で21公演が通例であったがその日々、気がつけば私は演奏も上の空で、布施さんの歌についつい聴き入ってしまうことがよくあった。アップテンポもパワフルでご機嫌だったけれど、布施明といえばやはり、情感も豊かに心から歌い上げる一連のスローナンバーであろう。なかでも圧巻は『愛の終りに』であった。毎回毎回この曲の歌い出しのところで、もう俺はたまらなくなってしまうのだ。本当に1週間で21度聴こうとも、必ず胸がジーンと熱くなったことを今でもよく思い出す。あ、そうだ。よく考えたら布施さん、御自身の歌にまったく酔いしれてなんぞいなかったワ。完璧にお客を相手のプロの仕事だったっす。その姿勢が俺の琴線に触れたってことでしたね。

今日の運勢

おひつじ座

全体運

身勝手にふるまってしまいそう。しばられたくなくても、場の調...もっと見る >