2017/09/24 09:00

有村架純インタビュー「ひよっこ」で昭和の強さを知った(前編)

©NHK
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 NHKの朝の連続テレビ小説『 ひよっこ 』の勢いがとまらない。尻上がりに視聴率が上がり、最近では20%超えが続いている。9月末までの放送で、ストーリーはいよいよクライマックスを迎える。

 主演の有村架純が、今回の朝ドラにかける思いを語った。

「本当に私でいいのかな」。ヒロイン役のオファーをいただいたとき最初に思ったのは、そのことでした。母からも、「あなたに本当に出来るの? 大丈夫?」と心配されました(笑)。

 2013年の『あまちゃん』のときは数日間で一気に撮影しただけでしたし、前編・後編のある映画だとわりと長期ロケになることもありますが、それでもせいぜい3カ月。朝ドラ(NHKの連続テレビ小説)のヒロインのように10カ月もの間、ほぼ毎日現場に入って撮影をするのは初めての経験です。

 そこで、朝ドラのヒロインを過去に務めた友人たちに話を聞きました。

 一昨年の『まれ』の土屋太鳳ちゃんは「しんどくなったらいつでも架純ちゃんを励ましに行くから」と言ってくれました。昨年『とと姉ちゃん』に出演した(高畑)充希には「頑張ってとは言わないけど無理せず楽しんで。終わった後に見える景色はすごく美しいよ」と。

朝ドラは“変われる”

 他のドラマや映画にはない、長丁場を乗り切った彼女たちの言葉には説得力がありましたし、とても勇気づけられました。

 朝ドラの主演をする前と後とでは、ヒロインの方の顔や喋り方、声まで全然雰囲気が違うんです。ものすごく成長できる。『べっぴんさん』の芳根京子さんも昨年の月9で共演しましたけど、その後、朝ドラに出られて、彼女がクランクアップした後に会ったとき「あ、違う」と感じました。

 だから私も、また朝ドラの現場を経験させて頂くことで、自分の中でもう一段階成長することが出来るんじゃないか、何かが変わるんじゃないか。そう思って、喜んでヒロイン役を引き受けさせていただき、いまはその役を全力で務めさせていただいています。

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 2017年上半期の連続テレビ小説『ひよっこ』は、東京オリンピックが開催された1964年以降が舞台だ。

 有村架純(24)演じる谷田部みね子は、父・実(沢村一樹)、母・美代子(木村佳乃)の長女として茨城県の農家に生まれる。高校卒業後、出稼ぎ先の東京で突然父が失踪したことから、集団就職で上京。最初に勤めたトランジスタラジオ製造工場は倒産してしまうが、幸運にも赤坂の洋食店・すずふり亭の店主・牧野鈴子(宮本信子)に誘われ、お店で働くことに。個性豊かな人々との交流を通じ、少しずつ成長していくみね子の姿を描く。

 今作の脚本は岡田惠和。『ちゅらさん』『おひさま』に続き、朝ドラは3作目である。有村も以前、映画『阪急電車 片道15分の奇跡』など岡田の作品に出演している。その才能に惚れ込んだ岡田の強い要望もあって、ヒロインはオーディションなしで有村に決まった。有村にとっては『あまちゃん』以来、2度目の朝ドラ出演となる。

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 懐かしい場所に戻ってきたな。『ひよっこ』の現場に立って、最初にそう思いました。

 私にとってNHKの朝ドラに出させていただけるのは、2度目の経験です。その1度目、『あまちゃん』は、大きな転機となった作品でした。

 17歳で東京に出てきてから役者のお仕事をしていたのですが、なんだかお芝居に対してもう一歩を踏み込むことが出来なかったんです。そうこうしているうちに20歳も近くなり、「今年、変われなかったらもう無理かもしれないな」とまで思っていました。

 そんなとき、事務所のマネージャーから、あるオーディションに行くように言われたのが、『あまちゃん』のヒロインのアキ役のオーディションでした。

 残念ながらヒロインには落ちてしまったのですが、私の笑った顔が、アキの母親役の小泉今日子さんに似ているとプロデューサーさんが思ったみたいで、小泉さんの若いころの役を任せてもらえることになったのです。

 危機感を持って現場に臨んだことで、「役を生きる」とはこういうことなのかと学ぶことが出来ました。単に台本のセリフを話すだけではなく、本当に自分の言葉として話をしている感覚になれたんです。ただただ必死に役に食らいついて、役作りや共演者の方々とお芝居のキャッチボールをすることで、それまでにはなかった、演じる楽しさを感じることが出来ました。

 こんなにも自分の役を愛おしいと思ったのは初めての経験でした。

 聖子ちゃんカットの髪型も、古田新太さんには「馴染んでいるね」、松田龍平さんにも「違和感ないよね」と褒めてもらえました。『あまちゃん』には、本当に感謝しています。

 それから四年が経ち、色々な現場で勉強してきたことを、『ひよっこ』で活かし、朝ドラに恩返しをしたい。そう思いながらヒロインの役を演じています。

お米が美味しくて5キロ増

 私の演じるみね子はちょっと抜けているところもありますが、何事にも全力で取り組むまっすぐな性格。喜怒哀楽が激しくて、笑ったと思えばすぐに泣いている、そんな女の子です。

 脚本の岡田惠和さんも「いままでの有村架純じゃないものが見られる役だ」と仰っていました。私はわかりやすく感情が表に出るタイプではないので、そこはみね子とはちょっと違うところです。

 みね子を演じるにあたって、まず心がけたのが、彼女は“農家の娘”だということです。私はこれまで茨城県には撮影でしか行ったことがなく、正直、どんなところなのかあまりイメージが出来ませんでした。

 ただ今回、改めて調べてみると、茨城県はメロンやれんこんなど生産量ナンバーワンの農産物がたくさんある県なんですね。そして谷田部家でも作っていますが、お米がとにかく美味しいんです。

 そこで、普段は体型を維持するために出来るだけ糖質は摂らないようにしていたのですが、やはり「農家の娘ならちゃんとお米の味を知っていないとダメだ」と思い、クランクインの2カ月前からお米をちゃんと食べるようにしました。それに少し体重を増やした方が、昭和の時代の田舎の女子高生の雰囲気が出るかなと思ったんです。

 それで1964年当時のままとはいきませんが、ご飯とお味噌汁とおかずとお漬物の食事を、朝昼晩と自分で作ってバクバクと食べていたら、自然と5キロほど増えました。いまは東京という都会に出てきて、もちろん楽しいこともありながらも、ちょっと辛い思いもしていることを表現するため、体重は元に戻しました。

 役作りで大変だったのはいくつかありますが、一つ目は茨城弁です。お母さん役の木村佳乃さん、お祖父さん役の古谷一行さんですら、苦労されていました。

 茨城弁って、抑揚があまりないんですね。だから感情を出さなければいけない場面で、抑揚をなくしてセリフを言うと、棒読みっぽくなってしまう。感情があるようでない、という変な感じになってしまうのが最初はとても難しくて。アドリブも、変に自分の感覚で喋って間違ってもいけないので、なかなか出来ませんでした。

 セリフを録音していただいたものを何度も聞いたり、現場でも方言の先生に指導してもらって、少しずつ慣れていきました。どこで語尾が上がるのか、濁点がつくのかどうかなど、いまだに分からないことだらけなのですが、この前、別の撮影に行ったら「すごい訛っていたので、もう一回お願いします」と言われてしまいました(笑)。全然意識していなかったのに、ついつい茨城弁が出てしまったんですね。いまから撮影が終わった後が心配になってしまいます。

 ちなみに私は兵庫県の出身なので、誰かが関西弁を喋っていると、うつってしまうことがあります。すずふり亭の料理長・牧野省吾役の佐々木蔵之介さんが京都出身なので、休憩時間に蔵之介さんと話していると関西弁が出てしまいますね。蔵之介さんなんて、本番でも関西弁が出ているときがありました。確かオッケーも出ていたので、分かる人には分かるという程度だったと思いますが(笑)。

ラジオ工場で大混乱

 トランジスタラジオの工場のシーンもなかなか大変でした。当時、トランジスタラジオは日本が外貨を稼ぐための大事な輸出品。みね子たちの勤めている工場でも1日340台を目標として、基板に細かい部品を流れ作業で固定していくのです。撮影でも、実際の工程をほとんどやっていたので、本物のトランジスタラジオに近いものが作れるようになっていたと思います。

 でもシーンの都合上、色々な角度から何度も撮る必要があるので、私たちもひたすら同じ作業を繰り返さないといけないんです。それでずーっと基板を見ていると、「あれ? どの穴に部品を入れればいいんだっけ?」と、混乱してやるべきことが分からなくなってしまうんですよ。当時、工場で働いていた方々は本当にすごいです。

(有村 架純)

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