2017/08/16 17:00

武井咲は最高のはまり役だ。『黒革の手帖』――亀和田武「テレビ健康診断」

 まさか、武井咲(えみ)が“銀座の女”を演じて、これほど似合うとは。いま多くの視聴者とテレビ関係者が驚いている。

 武井が主役を演じる『黒革の手帖』が、夏ドラマ最大の問題作――そう断言してよいだろう。ドラマ通の予想を裏切る痛快なヒットだ。

 でもね、私には成功の予感があった。なんて書くと、後出しジャンケンめくけど。松本清張が原作を書いた『黒革の手帖』は何度もドラマ化されたという。とはいえ、私が観たのは米倉涼子バージョン(二〇〇四年)だけだ。

 このとき米倉が演じた“夜のヒロイン”の存在感が圧倒的で、現在の『ドクターX』にまでつながる彼女の快進撃の起点となった。

 米倉の印象があまりに強烈だったため、芸能ジャーナリズムは勘違いする。武井と米倉じゃ、格が違いすぎる。あんな小娘に、米倉のようなインパクトある演技ができるわけもない、と。

 これが、まず記憶違いであり、見立て違いだ。米倉涼子は演技派とはほど遠い、大味な女優だ。色と欲の渦巻く夜の銀座で、男たちを踏み台に頂点へ昇りつめていく。そんな悪女を演じるには、小劇場風の演技力はなじまない。小技とは無縁の、構えの大きいパワフルな米倉だから、銀座の女を演じることができた。

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