2017/08/29 17:00

「バッカヤロー」の絶叫を岡本喜八は戦争に放つ!――春日太一の木曜邦画劇場

1968年作品(116分)/キングレコード/3800円(税抜)/レンタルあり
1968年作品(116分)/キングレコード/3800円(税抜)/レンタルあり

 岡本喜八監督は生涯で計八本もの戦争映画を撮ってきた。

 戦争を多く描いてきた理由を、彼は自著「マジメとフマジメの間」(ちくま文庫)で次のように述べている。「ささやかな戦争体験だったけど、私にとっては痛烈だったから」

 実際に同著には彼の「痛烈」な戦争体験が記されているのだが、そんな目に遭いながらも映画では戦争の悲惨さを正面から描かず、喜劇的に演出しようとしてきた。その理由も同著の中でこう述べている。「そんなある日、はたと思いついたのが、自分を取りまくあらゆる状況を、コトゴトく喜劇的に見るクセをつけちまおう、ということであった」「戦争は悲劇だった。しかも喜劇でもあった。戦争映画もどっちかだ。だから喜劇に仕立て、バカバカシサを笑いとばす事に意義を感じた」

 そんな岡本喜八ならではの、戦争と戦争映画に対する視線が如実に表れているのが、今回取り上げる『肉弾』である。

 舞台は太平洋戦争末期の鳥取。本土決戦の際に爆弾を抱えて敵戦車に突っ込む「肉弾」となるべく訓練に勤しむ青年「あいつ」(寺田農)の日常が、シニカルな笑いをちりばめつつ淡々としたタッチで描かれていく。まず驚かされるのは、「あいつ」の風貌だ。エラの張った痩せ細った顔に丸ブチ眼鏡――監督自身そのものなのである。それだけではない。年齢も「肉弾」を命じられるのも、全てが当時の監督と同じに設定されていた。つまり岡本喜八は「あいつ」の姿に戦時中の自身の姿を仮託していたということになる。

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