2017/10/01 17:00

今年のベストはこれだ。『眩(くらら)』――亀和田武「テレビ健康診断」

©文藝春秋
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 すごいものを観た。年末までにこれを凌ぐ作品が出現するとは思えない。『眩(くらら)〜北斎の娘〜』が、今年放映されたドラマの最高傑作になるのは間違いない。

 江戸時代の画家、葛飾北斎(長塚京三)は、いまも国際的な評価が高い。北斎の三女お栄(宮﨑あおい)も、生まれてすぐに絵筆を握った天成の画家だ。大量の注文をこなす父の仕事を有能な助手として支えつつ、自分だけにしか描けない絵と色彩の追求に、その生涯をかけた。

 天才絵師とその娘。このテーマに焦点を当てると、たとえ親娘であっても、同業者ゆえのライバル意識と確執が生じ、物語は息苦しくなる。

 ところが、このドラマときたら、風通しが滅法よい。お栄は「おやじ殿のように巧く描きたい」と常ひごろ思い、精進しているから、父の才能を嫉妬したり自分を卑下する料簡など、かけらもない。

 絵のことだけを考えているそんなお栄だから、いつもいい表情をしている。半鐘が鳴って「火事だ」と近所の住人がうれしそうに騒ぐ。お栄も真っ先に飛びだす。対岸の火事に見惚れる、お栄。江戸っ子を興奮させるあの炎の色を、どう描けば効果的か。そこにしか気が回らない。

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