2018/02/11 17:00

『悪女/AKUJO』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

『ゆれる人魚』2月10日より、新宿シネマカリテほかにて公開
『ゆれる人魚』2月10日より、新宿シネマカリテほかにて公開

 小説『フランケンシュタイン』の作者、メアリー・シェリーは、十七歳のとき駆落ちし、著名な思想家である父から勘当されてしまった。そこで、創造主である博士から忌み嫌われる怪物の存在に、父から軽蔑された自分の悲しみを託してあの物語を書きあげた、と言われている。脱稿したときはまだ二十歳だった。

『フランケンシュタイン』が不朽の名作なのは、誰もが思い当たる、あることを、見事に物語化したからだと思う。わたしたちは、家族や企業や国家など“大きなもの”にとっての、理想的な夫や妻や子、社員や国民でいたくて、努力する。でもそのことと、個人として幸せになることが、時に矛盾してしまう。結果、親の希望とは異なる進路を選んだ若者や、組織を抜けて不正を告発した人や……。彼らは、正しい選択をしたはずなのに、“大きなもの”の期待を裏切ってしまったという嘆きからなかなか逃れられない。それどころか、自分は怪物だと感じてしまうことさえあるはずだ。そう、十七歳のメアリー・シェリーみたいに。

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おひつじ座

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やや身動きがとりにくい日。腰は重いのに、理屈ばかり並べてい...もっと見る >