2018/03/01 17:00

アスベスト訴訟に密着した原一男監督「なぜもっと怒らないのか」

原一男監督
原一男監督

『ゆきゆきて、神軍』(87)の原一男監督が新作ドキュメンタリー映画『ニッポン国VS泉南石綿(いしわた)村』(3月10日公開)を完成させた。アスベストによる健康被害を受けた大阪泉南地区の元工場労働者や近隣住民たちの姿、そして彼らが起こした国家賠償請求訴訟のゆくえを追っている。

「テレビ局から持ちかけられた企画でしたが、短い放送時間のなかでまとめるのは私には不可能と判断し、自主制作映画として再出発しました」

 最終的に取材期間は8年半に及び、その間にアスベスト患者たちは次々とこの世を去った。過去の作品とは違い、ごく普通の市民を撮ることには葛藤もあったという。

「彼らは国家に対して反逆の意志よりも畏れ多いという感覚をもつ生活者です。それを撮って面白い映画になるだろうか、という迷いがありました。映画のなかにも『なぜもっと怒らないのか』という私の気持ちがつい表に出てしまった場面があります」

 患者たちと弁護団、さらには厚労省の役人など人々の感情のずれが顕在化するスリリングな瞬間は、原監督作品ならではの見どころだろう。

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