2018/05/20 11:00

『レディ・バード』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©2017 InterActiveCorp Films,LLC. Merie Wallace, courtesy of A24
©2017 InterActiveCorp Films,LLC. Merie Wallace, courtesy of A24

 四十代も後半になり、「さいきん時間の流れが早く感じるなぁ」と実感することしきりだ。一か月も、一年も、あっというまに過ぎるじゃないか! エッ、また桜の季節がきたの、と思ってるまに、出したばかりの春のコートをもう仕舞ってるし。あぁ、子供のころは一日があんなに長かったのになぁ~。

 さて、この作品は、グレタ・ガーウィグという女優さんが初単独監督を務めた、自伝的(?)青春映画だ。アメリカの田舎町サクラメントに住む十七歳の少女クリスティンの、“幸い大事件は起こらなかったけど私なりにめっちゃくちゃいろんなことがあった”高校最後の一年間を描いている。

 赤いボブヘアにパープルのネイルが目印の彼女は、レディ・バードという通称を名乗っている。それは、マドンナとかデヴィッド・ボウイみたいな、“架空の広い世界を占拠する為”の魔法の名だ。それなのに、家族ときたら……。

 冒頭近く、クリスティンが「どうしてレディ・バードって呼んでくれないの! 約束したじゃなーい!」とママにわめき散らすシーンで、心をぐっと掴まれてしまった。娘にとって、未来は夢の世界だけど、ママにとっては、厳しい現実の始まり。だからクリスティンは、学校では孤高のレディ・バードなのに、家ではおバカなティーン風に戻っちゃったりと、毎日どんどんせわしなくなる。

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