2018/07/10 17:00

退廃的で崇高な世界――時代劇は何でもありだ![春日太一の木曜邦画劇場]

1968年作品(80分)/KADOKAWA/1800円(税抜)/レンタルあり
1968年作品(80分)/KADOKAWA/1800円(税抜)/レンタルあり

 ここのところ「時代劇入門」と銘打ってのイベント開催やメディア出演を続けている。

「時代劇」というと『水戸黄門』などのイメージが強いせいか「古臭い」「ワンパターン」といったネガティブな印象を持たれてしまい、食わず嫌い的な敬遠をされることが少なくない。だが、時代劇は自由で幅広い表現手段である。そのことをより多くの人に知ってもらうべく、偏見を取り払っていければと思っている。

 たとえば、市川雷蔵主演「眠狂四郎」シリーズなどは「時代劇って本当に何でもありなんだ――」とご理解いただけるのではなかろうか。

 転びバテレン(弾圧により棄教したキリスト教神父)に母を犯されたことで生まれたという陰惨な出自、それ故の強い人間不信と特に女性への容赦ない接し方、そして神との対峙――。主人公の狂四郎(雷蔵)の設定は、淫靡で妖しい世界を自在に創作するのにピッタリだった。

 その極致とも言えるのが、今回取り上げるシリーズ第十一弾の『人肌蜘蛛』だ。残虐な兄・チェーザレと淫蕩な妹・ルクレティア。伝説的に語られている中世イタリアの貴族・ボルジア家の兄妹を江戸時代に登場させ、狂四郎と対峙させようという発想で生まれた作品だ。それを違和感なくできてしまうのが、このシリーズの凄さといえる。

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頭の回転がはやいけれど、少々毒舌気味。ツッコミは冗談が通じ...もっと見る >