2018/10/09 17:00

「時代劇」背負う中井と挑む佐藤、ぶつかり合い!――春日太一の木曜邦画劇場

2003年作品(137分)/松竹/レンタルあり
2003年作品(137分)/松竹/レンタルあり

 十月五日、筆者の新刊が発売になる。タイトルは 『すべての道は役者に通ず』 だ。

 これは二十三人のベテラン俳優にそれぞれの役者人生を語っていただいたインタビュー集で、その名の示す通り、彼らのさまざまな「道」が記されている。役者になるまでの道も様々で、新劇や映画会社といった王道はもちろん、歌手、古典芸能、喜劇などから入ってきた方々も登場する。

 その中に二人、名優の二世として生まれ結果として父と同じ道に踏み出した役者がいる。中井貴一と佐藤浩市。中井は幼い頃に亡くした父・佐田啓二の幻影を追うように。佐藤は現役バリバリの三國連太郎と相克ともいえる葛藤を抱えながら。それぞれの想いを抱えて役者になり、そして今では二世であることを忘れさせる存在として立場を確立している。

 今回取り上げる『壬生義士伝』は、そんな二人が二十年以上のキャリアを経て共演した、時代劇映画である。

 舞台は幕末の京都。新選組の隊士・吉村貫一郎(中井)は隊随一の剣の腕前の持ち主だった。だが、故郷の南部に残してきた妻子に送金するため、武士らしからぬ金への執着を見せていたため、周囲から蔑まれていた。中でも、斎藤一(佐藤)は吉村に強い反発を抱く。だが、吉村は全く気にせず家族のために生きた。

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