2018/10/23 17:00

ゴッホの複製画を20年描き続けた中国人の葛藤 「世界で一番ゴッホを描いた男」を採点!

© Century Image Media (China)
© Century Image Media (China)

〈解説〉

深圳市の中心から少し離れた大芬(ダーフェン)の「油画村」は、名画のレプリカで世界の半分以上のシェアを誇り、毎年数百万点の複製画がこの町から世界各地へ輸出されている。本作は、この地で20年もの間、ゴッホの複製画を描き続けている趙小勇(チャオ・シャオヨン)を追いかけるドキュメンタリー。1996年に出稼ぎで大芬に来た趙は、独学で油絵を学び、これまでに10万点以上ものゴッホの複製画を家族と共に描いた職人だ。芸術家としてのゴッホに魅了され、「ゴッホの本物の絵を見る」という長年の夢を叶えるためにアムステルダムを訪れた趙は、自分自身を見つめ直し、ある決断をする。写真家としても活躍するユイ・ハイボーと、実娘のキキ・ティンチー・ユイの共同監督作。ハイボーにとって初長編監督作となる。84分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆前半は疑問と反感で一杯だったが、オランダでの〈本物〉体験以降は興味津々、俄然面白く。〈表現〉の根本問題に迫る。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆模造という作業に小さく折り畳まれていた心が立ち上がった瞬間、情感の水がいきなり堰を破る。抜撃ちは映画の特技だ。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆アムステルダムで見つけた自分の描いた複製画が彼自身を傷つける。強烈に切ない現実だが、それに気づくのが面白い。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆「本物」を転倒させる模倣の情熱を期待したが、意外にナイーヴ。中年男性が温存する青年的自我の物語としては泣ける。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆摸写だらけの村。走る絵筆。ゴッホを経由して資本主義を知ってしまった摸写師に、思わずあの村を覗いてみたくなった。

INFORMATION

世界で一番ゴッホを描いた男』(中・オランダ)
10月20日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
監督:ユイ・ハイボー、キキ・ティンチー・ユイ
出演:趙小勇
http://chinas-van-goghs-movie.jp/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年10月25日号)

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