2018/11/26 17:00

過酷な運命に耐えるとき佐久間良子の美が顕現!――春日太一の木曜邦画劇場

1979年作品(139分)/東宝/2500円(税抜)/レンタルあり
1979年作品(139分)/東宝/2500円(税抜)/レンタルあり

 先日、佐久間良子に取材する機会があり、改めてその出演作品を観返してみた。そこで気づいたことがある。

 女優としての評価を高めることになった映画『人生劇場 飛車角』『五番町夕霧楼』(いずれも一九六三年)をはじめ、演じてきた役柄の多くに共通項があるのだ。それは、過酷だったり理不尽だったりした運命に翻弄されていく女性――である。哀しみに悲嘆し、苦悶しながら必死に耐える姿の美しさ。ここに佐久間の女優としての魅力が凝縮されているように思えた。

 今回取り上げる『病院坂の首縊りの家』もまた、そんな佐久間の魅力を心ゆくまで堪能できる作品である。

 市川崑が監督し、石坂浩二が名探偵・金田一耕助を演じた一連のシリーズの最終作にあたる本作ではこれまでと同様に、陰惨な連続殺人事件と、その裏側で巻き起こる当事者たちの悲劇が描かれている。

 舞台となるのは、「病院坂」と呼ばれる地域。ここには法眼病院とそれを営む法眼家、そして法眼家御用達の写真館と一軒の空き家があった。この空き家でジャズバンド「アングリー・パイレーツ」の一員・敏男(あおい輝彦)の生首が吊るされているのを写真館主・本條(小沢栄太郎)と息子(清水紘治)らが発見するところから事件は始まる。自らの命が狙われていることを疑う本條の依頼で写真館に出入りすることになった金田一が、真相究明に乗り出す。

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