2017/08/11 22:00

切実な居場所さがし『ハイジ アルプスの物語』『幼な子われらに生まれ』に見る不定形な家族像

 自分の居場所がどこにもない、誰からも必要とされていない。現代人にとって、とても切実な問題だ。イス取りゲームのように、ようやく自分が腰かけられるイスを見つけても、すぐに音楽が流れ始め、再び数少ないイスを奪い合うはめに陥る。「こんなゲーム、やめよう」と誰も言い出せないまま、また音楽が流れ始める。それならいっそ、どこかイスのない世界を見つけたい。スイスの児童文学『アルプスの少女ハイジ』は、高畑勲(演出)、宮崎駿(場面設定・画面構成)が手掛けたテレビアニメシリーズ(フジテレビ系/1979年)で日本でもおなじみの作品。スイス・ドイツ合作映画として実写化された『ハイジ アルプスの物語』を観ると、ひとりの少女の居場所さがしという現代的なテーマが込められた物語であることに気づかされる。

 アニメ『アルプスの少女ハイジ』は高畑勲、宮崎駿らがスイス・ドイツをロケハンして回った日本初の意欲的なテレビアニメだった。その甲斐あって、アルプスの雄大な山並みやアルムの村の暮らしぶりなどが見事にアニメーション化され、日本だけでなく世界中の人々を魅了する作品となっている。高畑勲、宮崎駿が大自然と人間とが共生する理想郷(後のスタジオジブリ作品に共通するテーマ)として描き出したアルプスの山小屋での生活が、今回の実写映画ではスクリーンにそのまま映し出される。肌着姿で野原を走り回るハイジ、屋根裏部屋の干し草のベッド、子ヤギのユキちゃんたちをペーターと一緒に放牧するシーン、とろけるチーズを乗せた美味しそうなパン、ソリに乗っての雪山の大滑降……。アニメ版でもおなじみの名場面を、上映時間111分の中にぎゅっと凝縮された形で楽しむことができる。

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