2018/08/14 12:12

監督&脚本家に聞く、なぜ『オーシャンズ』は“8”になったのか?

『オーシャンズ8』撮影風景より(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

世界的大ヒットを記録した『オーシャンズ』シリーズの最新作『オーシャンズ8』が大ヒット公開中です。女性のみとなった新生オーシャンズは、サンドラ・ブロックを始めとした豪華キャストが大集結。舞台はアン・ハサウェイ演じる女優ダフネが出席する世界最大のファッションの祭典“メットガラ”。世界一のセキュリティに守られた会場から、カルティエの宝石を盗み出すという前代未問の強奪計画です。

この夏一番のスリリングでスタイリッシュなクライムムービーを生み出した監督/脚本のゲイリー・ロスと、脚本/共同製作のオリビア・ミルチの2人に電話で単独インタビューを行いました!

『オーシャンズ14』ではなく、『オーシャンズ8』になった理由とは?

オーシャンズ8 メイキング

『オーシャンズ8』撮影風景より
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

――皆さんこの質問をすると思うのですが、『オーシャンズ13』の次なのに、なぜ『オーシャンズ8』なのでしょう? 『オーシャンズ14』にしなかった理由は?

ゲイリー・ロス監督(以下、ロス監督):ハハハ! その質問は初めて聞かれたかもしれない(笑)。聞いてくれて嬉しいです。正直言うと、『オーシャンズ14』にしてしまったら、登場人物を深く描くことができないと思ったんです。だから、今回は『オーシャンズ11』よりも少ない人数で行こうとオリビアと決めました。8人にしたからこそ、一人ひとりのキャラクターをより丁寧に描くことができたので、ラッキーでしたね。

――確かに、8人の女性の家族や性格まで細やかに描かれていて、それぞれの個性が際立っていました。

ロス監督:それはやはりキャストのおかげでしょう。一人ひとりの女性がどういう人間なのか、どういうバックグランドでどうして犯罪計画に加わったのか、といったパーソナルな物語を盛り込むことにオリビアと細心の注意を払いました。

オリビア・ミルチ(以下、オリビア):8人の女性がこの強奪計画に加わった理由はそれぞれ違います。こういったディテールが描けたのも、8人の役者をよく知り、彼女たちの内面をキャラクターに反映することができたから。脚本に描かれた登場人物が、彼女たちの手によってどんどんリアルな人間に変身していく様子を見るのは、本当におもしろかった! まさにチームワークの成せる技でした。

ロス監督:撮影現場では、役者に自由に演技をしてもらいました。時にはふざけたりしながら、できるだけ楽しい撮影にするように心がけたことも、8人の個性が際立った理由でしょうね。

メットガラのシーンで難しかったこととは?

オーシャンズ8 ゲイリー・ロス監督インタビュー

『オーシャンズ8』撮影風景より
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

――舞台となったメットガラは、実際のメットガラを忠実に描いているのですか? それとも、豪華に脚色したのでしょうか?

ロス監督:私は2回行ったことがあるけれど、実際のメットガラのほうがもう少し混み合っているかな(笑)。メットガラの責任者であるアナ・ウィンターや現場を取り仕切るイーディー・キーナンにも協力してもらい、できるだけ正確に映し出しました。イーディーには彼女が実際に担当している業務を、サラ・ポールソン(タミー)を雇う役として映画で演じてもらったしね。

オリビア:ゲイリーと私はかなりオタクなので、入念にリサーチしたんですよ(笑)。それに、ヴォーグやメトロポリタン美術館のスタッフはとても親切に協力してくれたから、メットガラは限りなく本物に近づけて描けていたと思います。

ロス監督:そのために映画に登場する“企画展”は、実際のものと同じレベルになるように、ヴォーグと一緒に作りました。とにかく最初から最後まで意見の違いなども起きず、皆が助け合った楽しい共同作業となりましたね。

――カルティエのジュエリーを盗み出すトリックは、スリリングで目が離せませんでした。かなり難しいシーンだったのでは?

ロス監督:メットガラにいる招待客からは“見えない”トリックを、いかに分かりやすく“見せる”か苦労しました。一番難しかったのは、キッチンやトイレといった離れた場所で同時進行で起こっていることを、完璧なタイミングとカメラのアングルでつなげたこと。撮影や編集というよりは、トリックの工程をパズルのように組み合わせることがチャレンジングでした。

オリビア:ひとつの作業を終えた後は確認に確認を重ねて、やっと次の作業に移る……という繰り返しでしたが、キャストとスタッフ全員が協力したからこそ、作り出せたシーンでした。

撮影現場の“自由度”がキャストに化学反応を起こす

OCEANS8 裏話

映画『オーシャンズ8』より、リアーナ演じるナインボール(中央)とオークワフィナ演じるコンスタンス(右端)
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

――今回のキャストには、役者が本業ではない女性もいますよね。ナインボール役を演じた歌手のリアーナはもちろん、アミータ役のミンディ・カリングはコメディエンヌですし、コンスタンス役のオークワフィナはラッパーです。

ロス監督:彼女たちは役者としても素晴らしい実力を兼ね備えていますが、活動の範囲が広い人たちと一緒に仕事をするのは楽しくて、撮影現場は賑やかに盛り上がりました。例えば、ミンディは自分のテレビ番組の脚本も書く素晴らしいライター。そして、オークワフィナは過去にオリビアが監督した『エンド・オブ・ハイスクール』(2018年)にも出演しているラッパーです。リアーナは9つぐらいの職業の持ち主ですよね(笑)。彼女たちは脚本を“単なる提案”と捉えていて、とても自然体なんです。アドリブもどんどんするし(笑)。様々なバックグランドをもった8人の女性が集まって本当にのびのびと演じてくれました。とても刺激に満ちた撮影でしたね。

OCEANS8 アミータ

ソファーに腰掛けるミンディ・カリング演じるアミータ(右から2番目)
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

――アドリブがたくさんあったということですが、脚本になかったシーンとは?

ロス監督:そもそも私は脚本どおりに撮影するタイプの監督ではないんです。この映画で脚本どおりに撮影したシーンは、ほんの少し。なにかおもしろいアイディアが浮かんだら、すぐに手を加えるようにしています。そうしたほうが、ダイナミックでおもしろい作品が出来上がるから。例えば、ミンディとオークワフィナが出会い系アプリの「Tinder」について話すシーン、あれは即興で出来上がったものなんですよ!

オリビア:撮影現場で許されている“自由度”は、映画のクリエイティビティにつながっていると思うんですよね。素晴らしい監督というのは、ゲイリーのように、役者やスタッフにとって“居心地のよい現場”を与える人のこと。皆をあたたかくサポートし“自由”を与えると、エキサイティングな現場になるんです。そしてそれがクリエイティビティを生みだし、キャストの間で化学反応を引き起こす……。この作品を通して、あれほど豊かな才能の持ち主のキャストと仕事ができてとても楽しかったですし、光栄だと心から思っています。

(取材・文/此花さくや)

今日の運勢

おひつじ座

全体運

気のおけない仲間と過ごすと、いい刺激がありそう。未来を開く...もっと見る >