2018/09/18 11:00

観ておくべきホラー『死霊館』シリーズは何がエモいのか

(C)2018 Warner Bros. All Rights Reserved.

すごく楽しみにしていたくせに、いざ映画館の座席に座るとちょっとおじけづいてしまう――それが『死霊館』シリーズです。

1作目『死霊館』(2013年)が素晴らしい作品で、以来このシリーズのファンなのですが、映画として見応えがある、けれど本当に怖い……だから冒頭に書いたような気持ちになってしまうのです。

このシリーズは必要以上の残酷描写、血肉がとびちるようなシーンがありません。観ていたら不安な気持ちになるけれど、不快ではない。じゃあ地味な映画か? とんでもない。どの作品も、前半はジワっときて、後半がたたみかけるようなホラーアクション。なので、満腹感のあるエンタテインメントです。

独立しながらも、つながる世界観

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ホラー映画はヒットするとシリーズ化されます。『死霊館』シリーズも、今回の『死霊館のシスター』を含め計5作となりますが、たとえば『13日の金曜日』(1980年)がヒットして、その後殺人鬼ジェイソンを主人公とした連作になるのとは少し異なります。

『死霊館』シリーズの5つの作品は同じ世界観の中の出来事とされ、各作品は独立した内容になっているが、つながっています。マーベルのヒーロー映画の多くが“マーベル・シネマティック・ユニバース”という大きな枠の中におさめられているように、“死霊館・ユニバース”というべき世界を形成しているのです。

『死霊館』、『死霊館 エンフィールド事件』(2016年)は心霊科学者の夫と霊媒師の妻がオカルト現象を突き止めていくお話。そして、この夫婦が手に入れた“いわくつきの人形”をテーマにしたのが『アナベル 死霊館の人形』(2014年)、『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年)です。

今回の『死霊館のシスター』は、今までの作品の中でその存在が示唆されていた、ある悪魔がなぜ人間の世界に現れたのか、時をさかのぼって描いた作品です。シリーズのファンにとっては、「なるほど! こういう風にすべてがつながるのか!」(特に1作目の『死霊館』とのリンク)がカタルシスですが、本作は“死霊館・ユニバース”の最新作でありながら“エピソード0”的でもあり、したがって本作から観始めても十分楽しめるでしょう。

怖いけれど幻想的なダーク・ファンタジー

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時代はまだ第二次世界大戦の記憶が残る1952年、ルーマニアの山奥にある古びた修道院。ここで尼僧(シスター)が謎の自殺をとげる。キリスト教で自殺は大罪。なぜ彼女は自らの命を絶ったのか? その調査のため、悪魔払いのスキルを持つバーク神父と霊感の強い見習いシスターのアイリーンが派遣されます。そして恐るべき真実が明かされるのです。

今までの『死霊館』シリーズはアメリカやイギリスを舞台に、普通の人々の日常に怪異が起こるモダン・ホラー的作品ですが、本作は不気味な修道院の中での出来事なので、いわゆるゴシック・ホラーと呼ばれる古典怪奇映画風。正直今までの『死霊館』シリーズとかなりテイストが違いますが、やっぱりクライマックスの盛り上がりはこれぞ『死霊館』!

さらにこれはシリーズ初、なんと人間よりも死霊の方が多く(!)登場するのです。異空間と化した修道院の中を、タイトルどおり“死霊館のシスター”が徘徊する様は、怖いけれど幻想的で、ダーク・ファンタジーとしての趣があります。

『死霊館』シリーズが好きな理由

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修道院やシスターという神様に守られているはずの場所や人が、悪魔に支配されてしまうのは、極めて絶望的でとてもショッキングな設定だし、また封印されていた悪魔が復活したきっかけは、他ならぬ人間自身が招いたある悲劇によるもので、ここも心に刺さりました。

『死霊館』シリーズでは、悪魔が死霊たちを操り、人間をとことんまで追いつめます。人の恐怖心こそこうした魔物たちのエネルギーであり、心が弱った人間に憑依しようとしているのです。そして悪魔は絶対、退治できない究極の存在です。でも、人間が心を強く持てば、悪魔の企みを退けることは出来る。その心の強さは、家族や大切な人を想う気持ちから生まれる、というのが“お約束”になっています。

こういうホラー映画に、教訓じみたメッセージを見出そうとするのは野暮なことかもしれませんが、僕が『死霊館』シリーズが好きなのはまさにここで、ホラー・アトラクションをタップリ楽しんだ後、“邪悪のものに立ち向かうには愛が必要だ”という希望を持って映画館を後に出来るのです。

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それにしても“死霊館のシスター”はインパクトが強烈! ホラーキャラとして人気が出そうだから、コスプレする人が増えそう。クリスマスにはシスターを、ハロウィンの時には“死霊館のシスター”を街でみかけるようになるかもしれませんね(笑)。

(文・杉山すぴ豊)

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2013年にシリーズ第1作目が公開するや、世界中を恐怖の渦に巻き込んだ『死霊館』シリーズ。最新作『死霊館のシスター』の前作にあたる『アナベル 死霊人形の誕生』が2018年9月28日にテレビ放送されます。本記事では、不気味な死霊人形・アナベルの誕生の秘密が明かされる『アナベル 死霊人形の誕生』までのシリーズのおさらいと見どころをご紹介します。病みつきになる恐怖を味わいましょう!

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