2018/09/26 18:00

“アジア系”がハリウッド席巻!異例づくしな注目の理由

『クレイジー・リッチ!』9月28日公開 (c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

ハリウッドでは実に25年ぶりとなる“オール・アジアン・キャスト”にも関わらず、全米で3週連続1位(BoxOfficeMojo調べ)という驚異的なヒットを叩き出した『クレイジー・リッチ!』(9月28日公開)。

この全米3週連続1位というオープニング成績は、今年公開された『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』や『ジュラシック・ワールド/炎の王国』といった、メガヒット・シリーズの最新作でもなし得なかった大記録。全米ヒットの追い風を受けて、間もなく公開を迎える日本でも、当初30スクリーンでの封切り予定が、倍以上となる74スクリーンに拡大するなど、本作への期待が俄然高まっています。

ハリウッドでは極めて異例?ゴージャスな“アジア系”キャラクター

この作品の舞台となるのは、世界中から富裕層が集まってくる国・シンガポール。原作者のケビン・クワンもシンガポール出身で、自身の経験を基に執筆した2013年発表のベストセラー小説「Crazy Rich Asians」の映画化作品となります。

製作総指揮も兼任するクワンは、ハリウッドでは珍しいアジア系キャストへのこだわりも強かったよう。公式プレスによると、全編にわたり英語で、アジア系キャストが集結したハリウッド映画は、『ジョイ・ラック・クラブ』(1993年)以来とのこと。

かといって、アジア文化ばかりを際立たせた作品というわけではありません。「結婚を意識した若いカップルと、裕福な実家が衝突したら……?」という顛末をユーモアたっぷりに描いた極めて普遍的なテーマなのです。

(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

物語は、主人公のカップルが暮らすニューヨークで幕を開けます。アジア系アメリカ人の主人公レイチェル・チュウは、実力社会のアメリカで自ら居場所を切り開いてきた生粋のニューヨーカー。恋人ニックの親友の結婚式に出席するため、彼の故郷・シンガポールを一緒に訪れたことで、“クレイジーなほどお金持ちの一族の御曹司”という恋人の素性を知ることになるのです。

レイチェルを演じる主演のコンスタンス・ウーは、米バージニア州出身の台湾系アメリカ人。コメディに初挑戦したABC放送のテレビドラマ「フアン家のアメリカ開拓記」シリーズ(2015年~)が高視聴率を記録したことで、一躍脚光を浴びます。本作の製作スタッフは、彼女のスケジュールに合わせてクランクインを延期したほどの入れ込みようでしたが、女優としてのキャリアはテレビドラマや短編作品が中心でした。

一方、家族と恋人との板ばさみになるニックを演じたのは、マレーシア出身のヘンリー・ゴールディング。モデル活動や旅番組に出演していたとはいえ、本作が俳優デビューとなる彼の起用はまさに大抜擢だったといえるでしょう。

映画のキャリアがほぼ皆無だった彼らのキャスティング……。アジア系俳優を主役に据えたことはもちろん、そうした作品がここまでヒットすることは、ハリウッドでは超異例です。

(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

ハリウッドからも熱視線!注目のニュースター

主人公カップルを取り巻くキャラクターには、注目すべきアジアンスターが多数出演しています。

その筆頭格が、ニックの母親であり、一族の“女帝”でもあるエレノアを演じたミシェル・ヨー。“ミス・マレーシア”にも輝いたことがある中国系マレーシア人の彼女ですが、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)のボンドガール役に始まり、アジアを代表するトップ女優として数々のハリウッド映画に出演してきました。財産目当ての交際と決めつけ、庶民的なレイチェルに対して高圧的な態度で接する女帝エレノアを、さすがの存在感で演じています。

また、レイチェルの大学時代からの親友ペク・リンを演じているのが、中国系アメリカ人の父と韓国系移民の母との間に生まれたラッパーのオークワフィナです。2012年、YouTubeに投稿した「My Vag」のミュージックビデオが評判を呼び、その名が一気に知れ渡ります。その後は、ラッパーだけでなく、脚本家やコメディエンヌ、女優としても活動。サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェットらと並び、『オーシャンズ8』(2018年)のメインキャストに抜擢されたことで、知名度も一段とアップしました。

金髪のウィッグをかぶり、個性的なファッショニスタであるペク・リンは、本作でも格段に目立つユーモラスなキャラクター。真面目なレイチェルとは正反対な性格だけに、そのちぐはぐさが妙にツボ! シリアスな悩み相談のシーンのはずが、どこかジョークの掛け合いのようで笑えるのです。

(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

そして本作に出演するもう一人のニュースターが、ニックの親友の婚約者にして、シンガポールを代表するモデル、アラミンタ役を演じた日系女優ソノヤ・ミズノです。ニックに負けず劣らず大富豪の娘であるアラミンタは、超ゴージャスな抜群のプロポーションを劇中で披露しています。

それもそのはず、日本とイギリスのハーフである彼女は、シャネルやイヴ・サンローラン、ルイ・ヴィトン……といったハイブランドのモデルとして活躍。モデルの前には、英国ロイヤル・バレエ団でダンサー活動をしていたという、輝かしい経歴の持ち主なのです。

本格的な女優活動は2015年からですが、『エクス・マキナ』(2015年)で演じた妖艶な女性型ロボット“キョウコ”役が話題に。その後も、『ラ・ラ・ランド』(2016年)や『美女と野獣』(2017年)などの話題作に立て続けに出演しています。

(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

本作には、彼らのほかにも、シンガポール、マレーシア、中国、台湾、日本、香港、韓国……といった様々な国籍やルーツをもつアンサンブル・キャストが顔をそろえています。

「移民家庭で育った僕には中国人の血が流れている。それでも実際はカリフォルニア育ちなんだ。私たちはどの文化、どの価値観の、どの部分を取捨選択し、ブレンドすればいいのか決めなくてはならない。世界は狭くなる一方だから、一人一人の個性や文化を尊重し、お互いの共通点を探すことが必要じゃないかな」(公式プレス資料より)

これは、『クレイジー・リッチ!』でメガホンを取った台湾系アメリカ人のジョン・M・チュウ監督の言葉です。個性的でエキゾチックな魅力にあふれた本作のキャラクターを見ていると、しみじみ納得させられます。ハリウッドにおけるアジア系映画の行く末を変えたとまで言われているだけに、今後は、アジアにルーツを持つキャストたちの“個性”が、より注目されるのではないでしょうか。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)

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