2019/01/02 06:30

なぜ『ワイルド・スピード』に魅了されるのか?シリーズを徹底解剖!

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2001年に第1作『ワイルド・スピード』が公開され、回を重ねるごとにスケールアップしてきたシリーズは今や8作品を数える。2017年に公開された『ワイルド・スピード ICE BREAK』には、2億5千万ドル(※)という莫大な製作費が投じられ、シリーズ累計興行収入は50億ドル(※)を突破、ハリウッドを代表する超人気シリーズに成長した。

『ワイルド・スピード』はなぜここまでのヒットシリーズとなったのだろうか。作品の長い歴史を振り返りつつ、その魅力や続編に関する話題を紹介していく。

※以下、ネタバレに関する記述を含みます。映画をまだ観てない方や、ストーリーの結末などを知りたくない方はご注意ください※

記念すべき第1作『ワイルド・スピード』

すべてのはじまりは2001年。アクション映画を得意とするロブ・コーエンを監督に迎えた記念すべき第1作『ワイルド・スピード』が公開された。

犯罪組織への潜入捜査を行う警官ブライアン(ポール・ウォーカー)は、ただの悪党ではないドミニク(ヴィン・ディーゼル)の人柄に惹かれ、いつしか2人には立場を超えた友情が芽生える。

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そんな2人のドラマを軸に描かれる本作の最大の見どころは、ストリートレースに燃える若者たちによるカーアクションだ。高級車ではなく、あえて“走り屋”好みの日本車や改造車を使用し、アイデアに富んだカーアクションが展開。当時無名だった主演2人の魅力も観客に届き、スマッシュヒットを記録した。

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ドミニク役のヴィンは本作の成功で一躍スターの仲間入りを果たし、以降アクションスターとして活躍していく。

バディ・ムービーとなった2作目

2003年、2作目『ワイルド・スピードX2』が公開。ポールは引き続き主演したが、続編に好意的ではなかったコーエン監督とヴィンは降板する。

新たに監督に抜擢されたのは、ブラックムービーの秀作を手掛けていたジョン・シングルトン監督。ブライアンの相棒として、ピアース(タイリース・ギブソン)が登場。警察に追われる身となったブライアンと保護観察中のピアースは、犯罪歴を帳消しすることを条件に、麻薬組織への潜入捜査を開始する。

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ストリートレースに焦点を当てたカーアクションは健在だが、幼なじみの2人がケンカしながらも事件を解決に導くというストーリー展開で、バディ・ムービーとしての色合いが濃くなっている。

本作の公開前年の2002年、降板したヴィンはコーエン監督とともにアクション満載の『トリプルX』を大ヒットさせ、彼は注目のアクションスターとなる。そんな中公開された本作は、新生アクションスターがいなくなった続編という印象を与え、続く3作目ではキャストが一新されることになる。

シリーズを大ヒットへと導くジャスティン・リン監督の起用

シリーズにおいて最も特殊な作品が、3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)だろう。新たに監督に抜擢されたのは、台湾出身の新鋭ジャスティン・リン。本作はシリーズ3作目ではあるが、続編ではなく番外編という扱いになっている。

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舞台は東京へと移ったが、前作までのようなストリートレースができない土地柄のため、“ドリフト”というテクニックを駆使したカーアクションが展開。キャストも一新され、主人公に運転技術を教えるハン(サン・カン)が登場する。

公開当時、東京が舞台ということで日本では話題となったが、全米の興行収入は前作の約半分の6200万ドル程度(※)にとどまった。しかし、映画の最後にヴィン・ディーゼルがカメオ出演したことで、このシリーズは大きな転機を迎えることになる。さらに、リン監督自身が今後のシリーズを大ヒットへと導くことで、結果的に重要な立ち位置へと変わる稀な作品となった。

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ヴィン・ディーゼルが本格復帰、プロデューサーも兼務

ヒットとはならなかった3作目を経て、シリーズがまさかの大復活を遂げたのが、4作目『ワイルド・スピード MAX』(2009年)だ。

ヴィンがシリーズに本格復帰し、以降プロデューサーとしても名を連ねる。監督は前作に引き続きリン監督が務め、2017年に『ワンダーウーマン』で世界的スターとなったガル・ガドットが登場していることにも注目。

本作では、ドミニク(通称ドム)が悪党ファミリーのリーダー、ブライアンが警察の一員という1作目の立ち位置に回帰。2人が別々の目的で同じ敵を追うストーリーが展開され、観客の期待通り、2人は最後にタッグを組む。そして映画のラストでは、刑務所送りとなったドムをブライアンと悪党ファミリーが脱走させるというまさかの幕切れが待ち受けていた。これまで警察側だったブライアンは、これ以降悪党ファミリーの一員となる。

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“潜入捜査モノのカーアクション映画”だった本シリーズは、本作以降ガラリと作風を変え、“悪党ファミリーが、さらなる悪を倒すために立ち上がる”という基本路線を確立。まさにシリーズの新たな第1章となった。

ビデオスルー作品となる可能性もあった本作だが、リン監督、そして主演とプロデューサーを兼務したヴィンの手腕によって、新たなアクション映画として見事に再起動した。

莫大な予算を獲得したシリーズは最強のアクション映画へ

2011年の5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』から悪党ファミリーとなったドムとブライアンだが、本作から彼らを追う捜査官ホブス役としてドウェイン・ジョンソンが参戦。

主人公たちは史上最大の強奪作戦のために、最強の泥棒集団を結成するのだが、そこに過去のシリーズで登場した人物たちが馳せ参じるという、少年マンガのような熱い展開に。ドウェイン率いる警察と悪党組織との三つ巴のバトルが繰り広げられる。

2013年の6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』からは、ついにファミリーが国家から依頼を受け、敵だったホブスと手を組んで国際的犯罪組織を追っていく。アクションのスケールも拡大し、戦車とのバトルや滑走路でのチェイスシーンは開いた口がふさがらなくなるほど迫力ある映像に仕上がっている。

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同作では、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』で初登場し、ここまでファミリーの一員として活躍していたハンが東京へ行くことになり、時系列としては3作目が6作目の後に位置する作品であることが判明。さらに、映画のラストには、最強の敵としてジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウが登場。まさに世界最強のアクション映画へと進化したのだった。

超人気シリーズが迎えた最大の試練

人気の絶頂を迎えたシリーズは、ジャスティン・リン監督からジェームズ・ワン監督にバトンタッチし、思わぬ形で最大の試練を迎える。

2015年公開の7作目『ワイルド・スピードSKY MISSION』の撮影真っただ中だった2013年11月、ブライアン役のポール・ウォーカーが交通事故により帰らぬ人となる。ヴィンと並ぶシリーズの主人公を失い、製作は中断を余儀なくされたが、残されたスタッフとキャストは映画を完成させることを決意。しかし、彼が亡くなった当時、撮影はまだ半分も終わっていなかったという。

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そこでポールのシーンは、実の兄弟であるカレブ・ウォーカーとコディ・ウォーカーが代役を務め、表情をモーションキャプチャーし、髪の毛までスキャンして、ポールの顔のCG合成処理が行われた。こうした努力の末、ポールのシーンを削ったり、遠目からのショットに逃げたりすることもなく、映画は見事に完成したのだ。

ステイサムに加え、本作から政府の秘密組織のボスとして大御所俳優カート・ラッセルも登場。ファミリーは政府の依頼で、“ゴッド・アイ”と呼ばれる世界監視システムの奪還に挑む。これまで以上の凄まじいアクション、そしてポールへの敬意にあふれた本作は、ついに全世界興行収入10億ドル(※)を突破し、歴史的大ヒット作となった。

強い絆で結ばれたドムとブライアンが別々の道を行くエンディングは、ファンならずとも目頭が熱くなるシーンになっている。

8作目にして聞こえてきたファミリーの不仲説

2017年の8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』にはシリーズ最大の製作費が投じられ、シャーリーズ・セロン、ヘレン・ミレンというオスカー女優の2人が参戦。ある秘密を理由に脅迫されたドムが、敵としてファミリーと対峙する思い切ったストーリーが展開する。

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最大の魅せ場は、なんといってもクライマックスの氷上カーチェイス。ミサイルや魚雷が飛び交う中、なんと潜水艦とのカーチェイスという衝撃の組み合わせが実現している。世界興収はまたしても10億ドル(※)を突破し、シリーズの勢いはとどまることを知らない。常に観客の想像を超えるアクションを生み出すその姿勢には脱帽するばかりだ。

ポールの死も乗り越え、ファミリーとしての結束を見せてきた本シリーズだが、ここにきてキャストの不仲説が浮上する。

発端は『ワイルド・スピード ICE BREAK』の撮影中、ドウェインがSNSで「プロ意識のない臆病者がいる」と発したためだ。これが誰のことを指しているのかは不明だったが、メディアは特定することに躍起になり、「その人物とは、他ならぬヴィン・ディーゼルのことだ」と報じた。

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これを受けたヴィンとドウェインは不仲説を否定。一時は沈静化したと思われたが、ドウェインが雑誌のインタビューで、「8作目ではヴィンと一緒に撮影しなかった」と発言したことで、不仲説に真実味が出てしまった。

そんな中、2019年の予定だった9作目の公開が1年延期されると発表される。理由はドウェインとステイサム主演のスピンオフ『ホブス&ショウ(仮)』が、2019年に公開予定となったためだ。

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この発表を受け、ピアース役のタイリースがSNSで、「ドウェインのスピンオフのせいでファミリーがめちゃくちゃになった」と怒りを露わにする。2人はすぐに和解したものの、ドウェインは9作目への出演を明言しておらず、今後のシリーズがどうなっていくのか目が離せない状況だ。

人気俳優が集う大ヒットシリーズである本作とあって、不仲説もまた人気の裏返し。ドウェインのSNSで発せられた「すべてはいい作品にするために」というコメントを信じて、まずは2019年のスピンオフの公開を待つしかないようだ。

『ワイルド・スピード』シリーズの凄さとは

想像を超えるカーアクションを提供し続けてきた本シリーズだが、そのスケールとクオリティは他の追随を許さないどころか、もはや異常ともいえるレベルに達している。超人ヒーローや怪獣も登場しない中で、これほど予算がかかったアクションが観られるだけでも、このシリーズには大きな価値がある。

また、このシリーズが世界中で受け入れられている大きな要因は、キャラクターの多様性だろう。白人俳優中心だったハリウッドにおいて、本シリーズには様々な人種のキャラクターが登場し、その関係性も驚きに満ちていて、決してマンネリ化することがない。新陳代謝を繰り返していることも、長寿シリーズとなっている要因だ。

本シリーズは、10作目をもって終了になることが発表されている。残り2作では、シリーズを世界的ヒットへ導いたジャスティン・リン監督が復帰することが濃厚だ。

いよいよクライマックスを迎える本シリーズだが、作品の多さから観るタイミングを逃してしまった人は、ぜひ今からでも飛び込んでみてほしい。このシリーズが持つパワーを劇場で体験しないのは、あまりにもったいないというものだ!

※BOX Office Mojo調べ

文=SS-Innovation.LLC

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