2018/12/31 11:00

『ロッキー』シリーズを総ざらい!最新作までの歴史を一挙解説

ロッキー(左)とアポロ(右) 映画『ロッキー』
United Artists/GettyImages

シリーズの生みの親である、シルベスター・スタローンによって終止符が打たれた『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)から9年。ロッキーのライバルで親友だったアポロ・クリードの隠し子、アドニスを主人公とした『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)が公開され、まさかの新シリーズが開幕した。

そして続編『クリード 炎の宿敵』が2019年1月11日より公開される。前作を観ておくと十分に楽しめるが、過去のロッキーの歩みを知れば、さらなる感動を味わえることは間違いない。今回は、そんな『ロッキー』シリーズを振り返りつつ、最新作『クリード 炎の宿敵』の最新情報をご紹介!

※シリーズ解説の都合上、ある程度ストーリーのネタバレを含みます。

あるボクシングの試合からすべてが始まった

記念すべき1作目『ロッキー』(1976年)は、あるボクシングの試合から誕生した。

ニューヨークのスラム街出身のスタローンは、当時まだ今ほど有名な役者ではなく、ポルノ映画への出演や用心棒をしながら食いつないでいた。

そんなある日、彼はボクシング界伝説の王者モハメド・アリと、チャック・ウェプナーという無名のボクサーの試合を観戦する。ウェプナーもまたスラム街出身で、ボクシングだけでは食べていけず、副業で生活費を稼ぐ男だった。王者絶対有利と予想される中、ウェプナーは大善戦を繰り広げ、その姿に感銘を受けたスタローンが3日で書き上げたという脚本が『ロッキー』だ。

映画『ロッキー』
United Artists/GettyImages

スタローン渾身の脚本は高く評価されたが、映画化の条件はスター俳優が主演することだった。しかし彼は、決して自分が主演することを譲らなかった。交渉の末、スタローンは見事に主演での映画化を勝ち取ったのだが、低予算映画としての制作を余儀なくされてしまう。

記念すべき第1作『ロッキー』

あらすじ

三流ボクサーのロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)は、試合だけでは食べていけず、闇金の取り立てを代行しながら生活費を稼いでいた。素質はあるがろくに練習もせず、所属ジムのトレーナーのミッキー(バージェス・メレディス)にも愛想をつかされるが、ペットショップに勤める内気な女性エイドリアン(タリア・シャイア)と恋に落ちる。そんな中、対戦相手のケガによって試合をキャンセルされたヘビー級世界王者アポロ・クリード(カール・ウェザース)は、アメリカンドリームと称して無名のボクサーに挑戦権を与えることを思いつく。そんな無敵の王者の挑戦者に指名されたロッキーは、「この試合の最後まで立っていられたら、俺がゴロツキじゃないことを証明できる」と、自分の人生をかけてチャレンジすることを決意する。

ロッキー(左)とエイドリアン(右) 映画『ロッキー』
Archive Photos/GettyImages

脚本にほれ込んだプロデューサーは、自宅を担保に入れてまで無名のスタローンのために製作費を捻出した。節約のため、エキストラにはスタローンの父親や弟も出演、愛犬までもが参加している。

注目度も高くなく、数少ない映画館での封切りだったが、人間味あふれるストーリーと有名なロッキーのテーマが観客の心をつかみ、全米で大ヒット。その年のアカデミー賞作品賞を受賞し、自身の姿を重ね合わせたロッキーと共に、スタローンはアメリカンドリームを実現したのだった。

第49回アカデミー賞作品賞を獲得した『ロッキー』
Ron Galella/GettyImages

リターンマッチ『ロッキー2』

あらすじ

世界チャンピオンを追い詰め、一夜にして有名になったロッキー。だが、ボクシングから距離を置くことにしたロッキーは、エイドリアンと結婚して新居で暮らし始める。一方のアポロは、王者としてのプライドを取り戻すため、ロッキーに再戦を申し出る。悩んだ末ロッキーはこれを受けて立つが、エイドリアンは猛反対。トレーニングにも身が入らない中、エイドリアンが過労で倒れてしまう。

映画『ロッキー2』
Michael Ochs Archives/GettyImages

1作目の大ヒットを受け、約2年半で公開となった続編『ロッキー2』(1979年)では、スタローンが監督、脚本、主演の3役を務めた。前作はボクシング映画というより青春ヒューマンドラマの傑作だったが、本作からスポ魂娯楽作品へとシフトチェンジした。

映画『ロッキー2』
John Springer Collection/GettyImages

前作を超えるロッキー対アポロの壮絶な打ち合いが展開され、勝敗に重きを置かなかった前作とは違い、試合の行方が大きな見どころになっている。

アポロと組んで強敵に立ち向かう『ロッキー3』

あらすじ

アポロとの激闘を制し、世界王者となったロッキーは連戦連勝、すっかりセレブリティとなっていた。そんな中、彼はハングリーな挑戦者クラバー・ラング(ミスター・T)との防衛戦に備えるが、トレーナーのミッキーは、強すぎるラングには到底勝てないとロッキーに告げる。ミッキーの言う通り、ロッキーはラングの圧倒的な強さの前にKO負けを喫し、試合直前に病に倒れたミッキーも帰らぬ人となってしまう。王座もトレーナーもなくし、どん底にいたロッキーの前に現れたのは、かつての王者アポロだった。ロッキーはアポロの猛特訓を受け、ラングとのリベンジマッチに挑む。

ミスター・T演じるクラバー・ラング(右) 映画『ロッキー3』
Ron Galella/GettyImages

シリーズは当初3作目で完結する予定だったため、『ロッキー3』(1982年)ではミッキーの死、アポロとの友情など、ストーリー的な区切りとなる要素がちりばめられている。

内気だったエイドリアンのたくましい姿や、敵だったアポロと組んで強敵に立ち向かう熱い展開が特徴的で、プロレスラーのハルク・ホーガンの出演も話題となり、2作目を超える大ヒットとなった。

映画『ロッキー3』
ullstein bild/GettyImages

最新作『クリード 炎の宿敵』の因縁の発端『ロッキー4/炎の友情』

あらすじ

ソビエト連邦の若きボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)がロッキーを親善試合の対戦相手に指名してきた。しかし、引退していたアポロがそれを聞き、自分がドラゴと対戦したいとロッキーに願い出る。「お互いにもう若くない」と引き止めたロッキーだったが、アポロに押し切られ、セコンドとしてサポートすることに。しかし、冷徹で驚異的なパンチ力を持つドラゴの前に、アポロはなす術もなく強打を浴びせられ、リングの上で帰らぬ人となってしまう。親友アポロの敵を討つためソ連に乗り込んだロッキーは、これまで以上の厳しいトレーニングを行い、モスクワでリベンジマッチに挑む。

ドルフ・ラングレン演じるイワン・ドラゴ 映画『ロッキー4/炎の友情』
United Artists/GettyImages

世界情勢として東西冷戦が背景にあったため、当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンが絶賛、一方のソ連メディアはスタローンを非難するなど、政治面でも話題を呼んだ『ロッキー4/炎の友情』(1985年)。

過去作に比べて上映時間も短く、エンターテイメント性が重視された作品となっている。2019年公開の『クリード 炎の宿敵』では、本作で亡くなったアポロの息子とドラゴの息子が対戦。シリーズ未見の人は、本作だけでも観ておきたいところだ。

“有終の美”とはならなかった『ロッキー5/最後のドラマ』

あらすじ

ロッキーはボクサーを引退し、生まれ故郷でトレーナーとして再スタートを切っていた。そこで有望な新人トミー(トミー・モリソン)と出会い、2人はヘビー級で快進撃を続ける。しかし、金と名誉を欲し、タイトルマッチを急ぐトミーは悪徳プロモーターに引き抜かれ、ロッキーの元を離れてしまう。チャンピオンに輝いたものの、ロッキーを裏切ったと世間から非難されたトミーは、ロッキーとの対決を切望。酒場にいたロッキーのもとへ向かい「試合をしろ」と要求するが、ロッキーは相手にしなかった。しかし、ロッキーの義兄のポーリー(バート・ヤング)が殴られたことで怒りが爆発。2人はストリートファイトで対決することに。

トミー・モリソン演じるトミー 映画『ロッキー5/最後のドラマ』
images Press/GettyImages

『ロッキー5/最後のドラマ』(1990年)では、1作目のジョン・G・アヴィルドセンが監督に復帰し、脚本と主演はスタローンが務めた。しかし、プロボクサーが路上で殴り合うという内容はあまりにもシリーズの最後にふさわしくないと批判を受け、興行的にも振るわなかった。

公開当時、こんな形でシリーズが終わってしまったと嘆いたファンも多かったが、16年の時を経てロッキーが帰ってくることになろうとは、この時誰も考えていなかった。

映画『ロッキー5/最後のドラマ』
Images Press/GettyImages

これぞ完璧な有終の美『ロッキー・ザ・ファイナル』

あらすじ

長い年月が経ち、ロッキーは亡き妻の名前“エイドリアン”を冠した小さなレストランを経営して暮らしていた。そんなある日、テレビ番組の企画で、現ヘビー級王者のディクソン(アントニオ・ターバー)対ロッキーのコンピューターによるバーチャルマッチが行われ、ロッキーが王者を見事KOする。大きな話題となる中、ロッキーは老いてもまだ、自分の中にあるボクシングへの情熱を消せないでいることを感じていた。彼は小さな試合での復帰を目指し、ライセンスの再発行テストを受けるが、年齢から危険すぎると判断されてしまう。しかしロッキーは、「誰にも夢を奪う権利はないはずだ」と主張し、見事ライセンスを取得。そのニュースを聞いた現王者ディクソン陣営から、エキシビションマッチの提案が届く。

5作目『ロッキー5/最後のドラマ』の終わり方に納得していなかったスタローンが長年の構想を経て映画化にこぎつけたのが、『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)だ。劇中の試合シーンは、本物のボクシングの試合が行われる直前の会場を借りて撮影され、観客も実際に観戦に来た人たちがそのまま出演している。

『ロッキー・ザ・ファイナル』に出演したアントニオ・ターバー(右)
Frazer Harrison/GettyImages

ロッキー登場の際には、打ち合わせもなしに“ロッキーコール”が巻き起こったという。16年の時を経て、“チャレンジすることの大切さ”という1作目のテーマに立ち戻った本作は、ファンには号泣モノのエンドロールを含め、ロッキーの長い旅の完結編にふさわしい傑作に仕上がったのだった。

“主人公はアポロの息子”という新展開『クリード チャンプを継ぐ男』

美しい結末を迎えた9年後、シリーズに新展開が訪れる。ロッキーではなくアポロの息子が主人公という、誰もが懐疑的だった企画を実現させたのは、当時29歳の新鋭監督ライアン・クーグラー。

『クリード チャンプを継ぐ男』監督のライアン・クーグラー(左)とアポロの息子を演じたマイケル・B・ジョーダン
George Pimentel/GettyImages

まだ長編監督デビューすらしていないころにスタローンへ企画を持ち込んだクーグラー。一度は彼に断られてしまうのだが、注目の監督に成長してもなおアタックを続けていたという。そしてスタローンは、無名のボクサーに自身を重ね合わせた『ロッキー』への情熱をクーグラーに見出し、若い世代へシリーズを委ねることを決意したのだった。

あらすじ

かつての世界チャンピオン、アポロ・クリードの隠し子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)は、母親を亡くし、アポロの正妻だったメアリー・アン(フィリイア・ラシャド)に引き取られる。立派な社会人へと成長したアドニスだったが、父親の跡を継ぐようにボクシングに魅了され、会社を辞めてプロボクサーとしての道を歩み始める。ある日、かつて父の親友だったロッキーを訪ねた彼は、自分がアポロの息子であると明かし師事を請う。アドニスの熱意に負けたロッキーはトレーナーになり、彼の教えを受けたアドニスはめきめきと腕を上げていく。そんななか、アドニスがアポロの息子であることが世間にばれてしまい、相手を探していた世界チャンピオンから対戦依頼が届く。

まさかのシリーズ復活作は各方面から絶賛の嵐

育ちの良さと荒々しさを兼ね備えた主人公、アドニスを演じたマイケル・B・ジョーダンの魅力が光る本作。アポロとロッキーのハイブリッドのようなファイトスタイルと、監督の映像センスあふれる長回しの試合シーンは圧巻だ。監督、原案、脚本を務めたクーグラーは、オールドファンだけでなく、若い世代も共感できる新旧が融合した傑作に仕上げてみせた。

本シリーズは、やはりロッキーの存在があってこそ。親友の息子の登場に戸惑いつつも、アドニスに関わることで生きる活力を得ていく姿は感動的だ。この演技が評価されたスタローンはゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。受賞スピーチでは、これまで自分を支えてくれた人と共に“親友ロッキー”に対して感謝を捧げたのだった。

『クリード チャンプを継ぐ男』ロサンゼルスプレミアにて
Frank Trapper/GettyImages

『クリード 炎の宿敵』はここを観ろ!

いよいよ最新作『クリード 炎の宿敵』が公開となる。前作で監督を務めたクーグラーは人気監督となり多忙を極め、製作総指揮に回ることに。そこで一時はスタローンが監督すると発表されたが、彼は「このシリーズは若い世代が作るべき」と話し、新監督にはスティーヴン・ケープルJrを抜擢。スタローンは共同脚本を務めることに。

見どころはなんといっても、アドニスの対戦相手だろう。アドニスとロッキーは、かつてアポロの命を奪ったドラゴの息子、ヴィクトルと因縁の対決に臨む。4作目でドラゴを演じたドルフ・ラングレンの出演も決まっており、試合の勝敗もさることながら、アドニスとヴィクトルという、偉大な先人の陰に立ち向かう新世代のドラマにも注目だ。

4作目から30年以上の時を経て、新旧の世代の因縁にどういう決着がつくのか。運命のゴングまでに過去のシリーズを見直して、ぜひ戦いに備えていただきたい。

文=稲生稔/SS-Innovation.LLC

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