2019/01/07 11:00

『クリード』に見るハリウッドとブラックカルチャーの深~い関係

『クリード 炎の宿敵』/(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC./2019年1月11日(金)より全国ロードショー

1月11日公開の『クリード 炎の宿敵』は、往年の人気映画『ロッキー』シリーズの新章『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)の続編です。ロッキー・バルボア役を演じるのは、やはりこの人シルベスター・スタローン。そして、主人公のアドニス・クリード役を、人気黒人俳優のマイケル・B・ジョーダンが演じます。

『ブラックパンサー』に見るハリウッド×ヒップホップの新潮流

この映画で注目なのは、その熱いストーリーもさることながら、昨今のハリウッド映画の新潮流となっている“ニューエイジブラックムービー”であることではないでしょうか。

今作で主人公を演じるマイケル・B・ジョーダンは、『ブラックパンサー』で主人公の宿敵キルモンガーを演じています。 さらに、制作指揮をとるのは前作の監督であり、『ブラックパンサー』(2018年)を手掛けたことでブラックムービーの旗手となったライアン・クーグラーです。

ライアン・クーグラーは、『ブラックパンサー』のインスパイアアルバム『Black Panther: The Album』制作にあたって、2018年のフジロックでヘッドライナーもつとめたヒップホップ界最高峰のラッパー、ケンドリック・ラマーにサントラ制作を依頼しています。さらに、著名なラッパーも数多く参加したことで、ヒップホップ色の強いものとなりました。

同アルバムは、2019年の第61回グラミー賞で最優秀アルバム賞にノミネートされているほか、収録されたケンドリック・ラマーとSZAのコラボ曲「All the Stars」が最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞などにノミネート。映画関連のヒップホップミュージックが、音楽業界でも存在感を放っています。

このようなハリウッド×ヒップホップのコラボレーションは現在、新たなブラックカルチャーの新潮流として注目されています。

(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

『クリード』とヒップホップの関係

前作『クリード チャンプを継ぐ男』のサントラにも、映画『ラ・ラ・ランド』に出演したジョン・レジェンド、『ハン・ソロ』出演のドナルド・グローバー(チャイルディッシュ・ガンビーノ)など、著名なラッパーが参加していました。

今作『クリード 炎の宿敵』でも、オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラックと『Creed II: The Album』が制作されています。このうち、『Creed II: The Album』を手掛けたのが、ヒップホップ界の名プロデューサーMike Will Made-It(マイク・ウィル・メイド・イット)です。

同アルバムにも著名なラッパーが数多く参加しており、その中の1曲はグラミー賞アーティストで、「Happy」などの楽曲で知られるファレル・ウィリアムスが、先述のケンドリック・ラマーとコラボした作品です。音楽的にもただのサウンドトラックに止まらない作品となっており、『ブラックパンサー』のサントラに匹敵するほどの注目が集まっています。

ブラックムービーのサントラがトレンドに

昨今のダイバーシティ化を推進する動きにともない、音楽業界やハリウッドでは“多様性”が重視されるようになりました。それを代表するのがブラックムービーであり、連動したキュレーションサントラでも、ヒップホップアーティストがプロデューサーを担当するケースが増えています。

今年、70年代を代表するブラックムービー『スーパーフライ』(1972年)のリメイク版が、アメリカで公開されました。そのサントラは人気ラッパーのFutureがプロデュースしています。

また、12月に日本で公開された『キックス』を手掛けた新鋭監督ジャスティン・ティッピングは、『ブラックパンサー』のライアン・クーグラーとの親交が知られています。作中で多用されるスローモーションシーンには、近年のヒップホップアーティストのミュージックビデオの影響が見受けられました。

このようにヒップホップは、ニューエイジブラックムービーの重要な要素として取り入れられています。

(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

今作の監督もヒップホップ界の大物たちと深~い関係

俳優や制作陣に、ブラックカルチャーにおける名うての人物が集結している本作。ただ、監督を務めるスティーブン・ケイプル・Jr.は、現時点ではほぼ無名の若手監督です。

そんな彼には以前、アメリカのテレビ局HBO制作のミニシリーズの監督を務めた実績があります。このHBOをプロデュースしているのが、ビヨンセの夫でラッパーのジェイZや、音楽活動を再開した俳優のウィル・スミスなどです。つまり、スティーブン・ケイプル・Jr.は、ヒップホップシーンと近しい間柄にある人物といえるでしょう。

また、『ロッキー』といえば、かつては白人スタローンのイメージが強い作品でしたが、『クリード』の主演は黒人俳優のマイケル・B・ジョーダン。ヒロインは今もっとも旬な女優の1人といわれている黒人女優で、『Midnight』という曲でサントラにも参加しているテッサ・トンプソンが務めるなど、ダイバーシティを感じるキャスティングになっています。

『クリード』はニューエイジブラックムービーとして成功するか?

『ブラックパンサー』は、興行収入で全米歴代3位の記録を打ち立てるなど、ニューエイジブラックムービーを代表する作品となりました。『クリード 炎の宿敵』はそれに引き続く作品になるのでしょうか? ロッキーのサポートを得て一人前のボクサーに成長したアドニスと、最強の挑戦者であるヴィクターの一戦、そしてニューエイジブラックムービーとしての成功の行方に注目です!

(文/Jun Fukunaga@H14)

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