2018/12/25 06:30

平成最後の年末年始「大泉洋」の快進撃を振り返る

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2018年12月28日(金)より全国ロードショー 配給:松竹
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

このところ役者・大泉洋の活動が実にユニークで面白い。一見コミカルな中にアクの強さを忍ばせたバラエティ的キャラクターは、それゆえに多彩な役柄を演じることを可能としているようだ。

そして彼は2018年の暮れと2019年初頭に公開される2本の映画にも立て続けに主演(さらには現在公開中の海外アニメーション映画『グリンチ』日本語吹替版の主演も務めている)。

そう、なかなか強烈な個性をもって、平成最後の年末年始を大泉洋は象徴的に飾ってくれているのである。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 大泉洋 鹿野

 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2018年12月28日(金)より全国ロードショー 配給:松竹
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

バイタリティ豊かな難病を患う男の実話『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』

まず2018年12月28日に公開となる『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』。これは難病の筋ジストロフィーを患いながらも病院を飛び出し、ボランティアを集めて自立生活を始めた鹿野靖明さん(劇中では34歳)とボランティアの人々との触れ合いを描いた実話の映画化。

……と書くと感動美談風に思われる方もいらっしゃるかと思われるが、この鹿野さん、かなりのクセ者でボランティアを前にわがままのし放題! とにかく図々しくておしゃべりで、おまけに女好き。それこそ「俺が死んでもいいのか?」みたいに難病を患っていることをカサに来て、周りを振り回しっぱなしなのである。

しかし、それでも鹿野さんは不思議とみんなに愛されている。それは自分に正直でまっすぐすぎるくらいの素直さからくる、人としての気持ちよさゆえなのかもしれない。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話  ネタバレ無し 感想

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2018年12月28日(金)より全国ロードショー 配給:松竹
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

原作は第35回大宅壮一ノンフィクション賞&第25回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した渡辺一史の『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』。やはり鹿野さんのバイタリティ豊かなキャラクターに魅せられての執筆であり、それが今回の映画化に繋がったと捉えていい。

また、そんな鹿野さんを演じているのが大泉洋なのだから、これはもうキャスティングの勝利としか言いようがない。実際、ここでの彼は鹿野さんが乗り移っているかのように自然にわがまま、自然に図々しく、そして自然に魅力的なのである。

ちなみにタイトルの意味は、夜中にバナナが食べたくなった鹿野さんに命令されて買いに行かされるボランティアのぼやきから採られたもの。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2018年12月28日(金)より全国ロードショー 配給:松竹
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

高畑充希をはじめ、その恋人役の三浦春馬(鹿野さんに一番翻弄されっぱなしなのは、実は彼かも?)、萩原聖人、渡辺真起子らがボランティア・スタッフをそれぞれ好演。主治医役の原田美枝子もいい味を出している。

監督は小学校の教室でブタを飼い、それを食べるか否かで生徒たちに議論させる『ブタがいた教室』(2008年)など、「生」をモチーフにした映画制作にこだわりつづける前田哲。ここでは彼の映画作家としての姿勢がさわやかなまでに開花している。ちなみに大泉洋は、やはり北海道を舞台にした前田作品『パコダテ人』(2002年)にも出演している。

北海道映画第3弾『そらのレストラン』

そらのレストラン 大泉洋

『そらのレストラン』2019年1月25日(金)より全国ロードショー 配給:東京テアトル
(C)2018『そらのレストラン』製作委員会

2019年1月25日公開予定の『そらのレストラン』。こちらは地域と食をモチーフにした『しあわせのパン』、『ぶどうのなみだ』に続く《北海道映画》第3弾で、いずれも北海道出身の大泉洋が主演している。『こんな夜更けにバナナかよ』も北海道が舞台だが、こういったところにも大泉洋の仕事のスタンスや故郷への想いなどが垣間見える。

ここでは循環農業に取り組む自然派農民ユニット“やまの会”をモデルに、チーズ造りに悩む主人公(大泉洋)とその妻(本上まなみ)、さらには仲間たちの友情が描かれる。そして、やがて彼らは自分たちが育て、作り上げた食材を用いての一日限定“そらのレストラン”を開くのだ……。

そらのレストラン 大泉洋 チーズ

『そらのレストラン』2019年1月25日(金)より全国ロードショー 配給:東京テアトル
(C)2018『そらのレストラン』製作委員会

前2作もそうだが、ここでの大泉洋は独自のアクの強さが北海道の大自然と中和され、好もしい個性のムードメイカーとして映えている。

また岡田将生をはじめとする仲間たちそれぞれの描出の中から、みんなどこかワケありな人生の機微があることをさりげなく醸し出しているあたりも好感が持てるところだ。

監督は『60歳のラブレター』(2009年)や『神様のカルテ』2部作(2011&2014年)『サクラダリセット』2部作(2017年)など、老若男女問わず人間をエモーショナル豊かな感性で捉えたドラマに定評のある深川栄洋。大泉洋は彼の『半分の月がのぼる空』(2010年)にも出演。

そらのレストラン 大泉洋 ネタバレナシ

『そらのレストラン』2019年1月25日(金)より全国ロードショー 配給:東京テアトル
(C)2018『そらのレストラン』製作委員会

善玉から悪役まで飄々と、縦横無尽の活躍ぶり!

振り返れば多くの人が大泉洋に注目するきっかけとなったのは地元・北海道ローカルの無謀なテレビ旅番組『水曜どうでしょう』(1996年〜・北海道テレビ放送)がインターネットなどで口コミされるようになり、全国展開が図られるようになってからだ。

正直、当時はコメディアン的な見られ方をしていた観もあったが、やがて東京進出してからの彼は幅広いジャンルの作品に出演するようになり、中でも映画『探偵はBARにいる』(2011年)は大ヒットしてシリーズ化。

個人的に大きく目を見開かせたのは原田眞人監督の時代劇『駆込み女と駆出し男』(2015年)で、そこでの飄々とした個性は女たちの駆け込み寺という題材のシリアスさに温かみを加えることに大きく貢献していた。

また『ゲゲゲの鬼太郎』2部作(2007&2008年)のネズミ男をはじめ、『アイアムヒーロー』(2016年)の主人公、『東京喰種トーキョーグール』(2017年)ではグールを仇とする真戸呉緒、『鋼の錬金術師』(2017年)のショウ・タッカーなど、CGを駆使した漫画原作大作路線にも積極的に出演し続けているのも嬉しいところ。

そして2018年は、さえない中年男と女子高生の純愛を麗しく描いた『恋は雨上がりのように』、大阪万博の時代を背景に在日朝鮮人家族の機微を活写した『焼肉ドラゴン』、そして悪役レスラー親子の交流を描いた『パパはわるものチャンピオン』に特別出演と、それぞれまったく異なるイメージの役柄を好演している。

さらには年末年始の主演2作品と、大泉洋の快進撃はまだまだ留まるところをしらない勢いのようである。

(文・増當竜也)

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 大泉洋 演技

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2018年12月28日(金)より全国ロードショー 配給:松竹
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会



【関連ニュース】

今日の運勢

おひつじ座

全体運

リラックスできる好調日。ボディメンテナンスに力をいれよう。...もっと見る >