2019/02/07 06:30

5分でわかる『パシフィック・リム』シリーズ!

映画『パシフィック・リム』でマコ役を演じた菊地凛子
Ferdaus Shamim/GettyImages

自分の好きな巨大ロボットと巨大怪獣が大バトルを繰り広げる映画を作りたい! 男子なら一度は考えたことがあるかもしれない憧れを、1人の映画監督がスクリーン上で見事に実現させた。その監督とは、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)でアカデミー賞作品賞をはじめとする4部門を受賞したスペイン人のギレルモ・デル・トロだ。

筋金入りの“オタク監督”として有名な彼が、日本の特撮怪獣映画やロボットアニメなどにリスペクトを捧げ、約200億円(※box office mojo調べ)という破格の製作費で作り上げたハリウッドによる本気の実写巨大ロボット映画、それが『パシフィック・リム』(2013年)だ。2018年に公開された続編『パシフィック・リム:アップライジング』とともに、シリーズの魅力をご紹介!

ついに実現した夢の企画『パシフィック・リム』

(あらすじ)

太平洋の海底から突如出現した正体不明の巨大生物“KAIJU(怪獣)”。圧倒的な破壊力を持つKAIJUと渡り合うため、世界は手を取り合って英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発する。人類は見事にKAIJUを退治するが、出現するたびにパワーを増すKAIJUによってやがて劣勢を強いられていく。地球が滅亡へと向かうなか、一発逆転のチャンスに賭けた人類は、最後の希望である旧式のイェーガー“ジプシー・デンジャー”を送り出す。

生粋のオタク監督が目指したのは普遍的なドラマ

欧米において、これまで75メートルを超えるようなロボットと怪獣が戦う作品は前例がなかった。そこでデル・トロ監督は、自らの趣味や情熱に寄りすぎたマニア向けのファンムービーにならないように配慮し、国境を越えた仲間たちと協力して困難に立ち向かうという、普遍的で共感しやすいドラマをメインテーマに掲げた。

ロンドンでのプレミアに登場した出演陣とデル・トロ監督
Dave Hogan/GettyImages

最大の見どころは、当時の最先端CGで描かれた巨大ロボ・イェーガーと巨大怪獣のリアルなバトルだ。そのサイズ感や重量感は圧倒的で、夢にまで見たバトルがスクリーンで展開される。

そして、「どんな映画でもリアリティを出すには、アナログな手法を用いた効果が有用だ」と監督が語る通り、イェーガーを操縦するパイロットのシーンでは、雰囲気を出すために4階建てのビルに相当する巨大なセットが組まれた。俳優たちはそこで揺さぶられ、ズブ濡れになりながら熱演し、監督は彼らのリアルな表情をとらえることに成功している。

また、監督のこだわりから怪獣を“KAIJU”と呼ばせたり、ロボットの必殺技をパイロットに叫ばせたりと、日本人が胸熱な要素もたっぷりと詰め込まれている。

さらに、多国籍で構成されたキャスト陣も大きなポイントだ。日本からは、脚本執筆時からイメージしていたという菊地凛子がヒロインのマコ役に抜擢。マコの幼少期を当時11歳の芦田愛菜が演じたことも話題となり、「彼女は天才。本当は50歳くらいなんじゃないかな?」と監督も絶賛。KAIJUに追いかけられる絶望的なシーンを、印象的に演じきっている。

人類の切り札となる個性豊かなイェーガーたち

監督曰く「歩くビルディング」と称される本作の顔ともいえるのが、巨大ロボットのイェーガーだ。劇中では世界各国で製造されている設定で、それぞれの機体ごとにネーミングやデザイン、性能に違いがあるのが興味深い。映画で活躍するのは主に4機で、どれも個性的な魅力にあふれている。

スタッカー・ペントコスト司令官役のイドリス・エルバ(左)と主人公ローリー・ベケットを演じたチャーリー・ハナム(右)
Dave Hogan/GettyImages

まず、アメリカで建造された主人公機のジプシー・デンジャーは、「エンパイアステートビルとジョン・ウェインを組み合わせたイメージ」と監督が語るように、ヒーロー然とした佇まい。正に“本作の顔”としてキーアートなどにも使用され、肘のブースト機能でパンチを加速させる「エルボー・ロケット」や、両手に仕込まれた「プラズマ砲」、腕に仕込まれた「チェーンソード」などを装備する。

中国が建造した「クリムゾン・タイフーン」は、通常2人ではなく3人乗りの機体で、左腕のプラズマ砲と、先端が回転ノコギリになっている2本の右腕が特徴的。機動性にも優れ、トリッキーな戦闘が可能である。

ロシア産の「チェルノ・アルファ」は、第1世代と呼ばれる初期型のイェーガー。そのネーミングもさることながら、原子力発電所の冷却塔を彷彿とさせるデザインはインパクト大。見るからにパワータイプの重装甲機体であり、強力なパンチでKAIJUを叩きのめす。

オーストラリアで建造された最新鋭の第5世代機「ストライカー・エウレカ」は、劇中では最高性能の機体として登場。KAIJUの撃破数もナンバー1のエリート機で、胸部の6連発ミサイルランチャー「エア・ミサイル」は圧倒的火力を誇る。監督の話によると、本作の制作がスタートした当初は、この機体がジプシー・デンジャーになる予定だった。

日本のオタクもニヤリとするオマージュ演出

巨大ロボットを演出するうえで、ロボットに乗る方法や出撃シーン、そしていかにして戦うのかは、とてつもなく重要なポイント。デル・トロ監督はそこも熟知しており、本作には日本の観客が「これは!」と元ネタを連想してしまうシーンが満載なのだ。

まずは映画の冒頭、ジプシー・デンジャーの出撃シーンが描かれるが、ここではパイロット搭乗プロセスが存分に堪能できる。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のプラグスーツ姿のようなパイロットが、まずはコックピットから分離されている頭部に乗り込み、そこから垂直落下でボディにあるコックピットへと収まる。その光景は、巨大ロボットアニメの元祖『マジンガーZ』のパイルダー・オンを彷彿とさせる。

イェーガーの操縦は、レバーを動かすようなタイプではなく、パイロットの動きがそのまま反映される仕組み。パイロットの格闘技術も重要になるこのシステムは、日本の特撮番組『ジャンボーグA』でも見ることができる。また、イェーガーの操縦には、脳に掛かる負担を減らすためにパイロットが2人必要だ。そこで“ドリフト”と呼ばれるシステムで互いの心を一つにし、それをイェーガーと同期させて戦う。このシステムは、エヴァンゲリオンとパイロットの“シンクロ率”に近いものがある。

メキシコでのレッドカーペット
Clasos/GettyImages

さらに、必殺技を使用する際は、日本のロボットアニメのようにパイロットが自ら技の名前を叫ぶ必要があるというのも面白い。

ちなみに日本語吹替版では、ジプシー・デンジャーの必殺技「エルボー・ロケット」がマジンガーZでおなじみの「ロケットパンチ」と吹き替えられたり、クリムゾン・タイフーンの必殺技「雷雲旋風拳」が「サンダークラウド・フォーメーション」と吹き替えられていたりと、日本版ならではの“スタッフの粋な計らい”が施されているのも嬉しいところ。

続編『パシフィック・リム:アップライジング』(2018年)

2018年に公開された続編『パシフィック・リム:アップライジング』では、デル・トロ監督はプロデューサーに回り、新たな監督として、こちらも『ウルトラマン』はじめとする特撮ヒーローやアニメが大好きなオタク監督、スティーヴン・S・デナイトが抜擢された。

続編で主人公ジェイク・ペントコストを演じたジョン・ボイエガ
Slaven Vlasic/GettyImages

(あらすじ)

人類とKAIJUの戦争集結から10年、世界は平和を取り戻そうとしていた。そんなある日、防衛軍が中国のシャオ産業が生産する無人機“ドローン・イェーガー”の採用について会議を開こうとしていた時、謎のイェーガーが襲撃してくる。軍はその場の危機をしのいだものの、謎のイェーガーはシャオ産業製で、KAIJUの細胞が組み込まれていることが判明。そんな中、すでに各地に配備されはじめていたドローン・イェーガーが暴走をはじめ、エネルギー波で世界各地に“裂け目”を作り出し、新たにKAIJUが出現する。さらにKAIJUはある目的のために日本の富士山を目指して移動を開始し……。最終防衛線が張られた東京で、最後の戦いが始まる!

続編は新世代のイェーガーが登場

本作では、平和な時代を生きる新人パイロットの成長と中国企業が開発した無人イェーガーの台頭を軸に物語が展開。そこに第三者の陰謀が絡み、再度現れたKAIJUによって、再び人類は存亡の危機に晒されていく。

ネイサン・ランバートを演じたスコット・イーストウッド(左)とジョン・ボイエガ
El Pics/GettyImages

ストーリーは、前作に比べて多少込み合っていることに加え、上映時間の短縮したこともあってか駆け足感は否めない。前作でもキャラクター描写は決して十分ではなかったが、本作ではさらに登場人物が多いことから、キャラクター描写が不足してしまい、日本人キャストの新田真剣佑も、前作の菊地凛子と芦田愛菜のような存在感を出すことは難しかったのかもしれない。

しかし、前作から10年後という舞台設定のため、登場するイェーガーたちは最新鋭の第6世代にアップグレード。デザインもクールにブラッシュアップされ、マジンガーZ系の重厚で無骨さを感じさせる前作から、機動力の高いエヴァンゲリオンのようなスタイルに進化している。
ジプシー・デンジャーの後継機であるジプシー・アベンジャーは、物体を捕縛して敵にぶつけることが可能な「グラビティ・スリング」を追加装備。3人乗りで腹部に連射可能な重機関砲を2門装備した「ブレーサー・フェニックス」、二刀流の高機動イェーガー「セイバー・アテナ」、遠距離攻撃を得意とし、近距離でも電磁鞭を操る「ガーディアン・ブラーボ」などが登場する。

Frazer Harrison/GettyImages

前作では主要な戦闘シーンが夜間だったこともあり、戦闘シーンが見づらい部分があったが、今作では相対的に明るい昼間にバトルが展開。イェーガーやKAIJUのディテールや動きがしっかり見えるのは嬉しいポイントだ。

また、正体不明のイェーガーは不気味な黒い姿、量産されたイェーガーの無人機はいかにも量産型という風貌で、さらに合体する怪獣といった日本でおなじみのアニメ・特撮あるあるは本作でも健在。クライマックスの舞台が東京&富士山というのも、聖地巡礼されているような嬉しさを感じるシーンになっている。

Netflixで新作アニメシリーズの製作が決定

これまでに2本の映画が作られたシリーズだが、新展開として、これまでもアナウンスされていたアニメ版の製作がNetflixで本格始動。劇場シリーズ2作をベースに、失踪した両親を探す10代の少年と妹を中心に、再びKAIJUとイェーガーの戦いが描かれる。

劇場版を手がけたレジェンダリー・エンターテインメントがアニメ版も製作し、スタッフには『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)の原案を務めたクレイグ・カイルと 、アニメシリーズ『X-MEN:エボリューション』(2004〜2008年)を手掛けたグレッグ・ジョンソンが名を連ねている。

実写映画だけでなく、アニメなどメディアミックスで広がり続ける『パシフィック・リム』シリーズ。どの作品も、大人から子どもまで誰もが楽しめる夢のエンターテインメント大作に仕上がっているので、未見の方は是非とも鑑賞していただきたい!

文=SS-Innovation.LLC

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