2019/02/08 11:00

トレスポ好きは必見!英国音楽映画の傑作『ノーザン・ソウル』

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

文=油納将志/Avanti Press

60年代末あたりから、マンチェスターなどイングランド北部を中心に労働者階級の若者たちを夢中させた“ノーザン・ソウル”。アメリカのマイナーなソウル・ミュージックでアクロバティックにダンスするムーヴメントで、70年代に全盛を迎えた。そのもっとも熱狂的な時期に青春時代を送った2人の若者を描いたのが本作『ノーザン・ソウル』(2月9日公開)だ。

本国イギリスでの公開は2014年。日本での上映を熱望されたが、実現に至ることはなかった。しかし、2017年に有志による自主上映イベントで日本公開がアナウンスされるやいなや、チケットはソールドアウト。そんな根強い待望の声に応えて、5年越しの全国ロードショーが決定した。

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

知られざる英国ダンス・ムーブメントの真実

5年も前の映画だが、“ノーザン・ソウル”という音楽ムーブメントを通した普遍的な青春物語であるということ、実体はあまり知られていないがスタイリッシュなブリティッシュ・カルチャーである“ノーザン・ソウル”への好奇心が、公開へと至らせた要因だと考えられる。

不況による閉塞感が街全体を覆い、未来に希望が持てない地方都市という英国映画の普遍的なシチュエーションで、高校生のジョンは父母(母親役は1990年代に人気を博したシンガーソングライターのリサ・スタンスフィールド)と共に暮らしている。母親に買ってもらったようなイケてないファッションで、学校に行けば先生からも同級生からもバカにされ、夢中になれるものを持ち合わせていないジョンを父母も持て余しているが、施設で暮らす祖父だけはあたたかく見守っていた。

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

躍動的なソウルと、アクロバティックなダンス

ある日、ジョンは両親からユースクラブ(地域の公民館で行われている中高生の放課後クラブ)にでも行きなさいと命じられる。気乗りしないで出かけたジョンだったが、そこで退屈な音楽ばかりかけている大人のDJに「このレコードをかけてくれ」と頼み込む同年代の青年マットと出会う。

DJが渋々かけたレコードが流れる間、ブルース・リーばりのアクロバティックなダンスを見せるマット。そして血が逆流するような躍動感に満ちたソウル・ミュージック──。圧倒されたジョンは、マットと彼を快く思わない同級生とのケンカに思わず割って入り、マットを助ける。そのことがきっかけとなり仲良くなった2人は毎日つるんで、レコードを探したり、ダンスの練習をしたりと“ノーザン・ソウル”漬けの日々を送るようになっていく。

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

高揚の日々、やがて直面するさまざまな現実

垢抜けたジョンは自分に自信を持つようになり、バカにされていた先生にも反抗、「Fxxk Off!」という捨てゼリフと共に制服のネクタイを放り投げて退学してしまう。

そこから平日はマットと同じ工場で働き、仕事が終わった後はユースクラブでDJをするようになるが、その音楽もジョンもマットも毛嫌いするユースクラブの大人たちによって追い出されてしまう。

そこで2人は自分たちだけのクラブを開こうとするが、未成年は相手にもされない。そんなフラストレーションがたまっていたところに、同じ工場で働くタトゥーだらけの怪しい男と出会う。

会った早々に殴られそうになったジョンだったが、男の腕に“Northern Soul”のタトゥーを見つけて意気投合。マットを加えた3人は毎週末、車に乗って千人規模が踊る“ノーザン・ソウル”の人気クラブをはしごし、楽しい日々を送っていたが、そこにドラッグ、もどかしい恋、そしてマットに対して芽生えた葛藤が絡み合い、ジョンはさまざまな選択と現実に直面することになる。

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

階級社会の閉塞を描いた英国音楽映画の新たな傑作

モッズを描いた『さらば青春の光』(1979年)、マンチェスターの音楽シーンをドラマ化した『24アワー・パーティ・ピープル』(2002年)、右傾化する若者たちを映し出した『THIS IS ENGLAND』(2006年)、そしてドラッグ・カルチャーを浮き彫りにした『トレインスポッティング』(1996年)、そしてこの『ノーザン・ソウル』。どの映画もやりきれない若者たちと音楽が切っても切れない関係性にあり、英国映画のひとつのパターンだと言っていい。

そんなお家芸とも言える映画が作られ続けるのは、階級社会、格差社会が変わることなく、底辺の若者たちはいつの時代も同じような境遇にあるからだ。

平日は身を粉にして働き、週末を楽しみに生きる。そこに音楽やフットボールが共にあるのは50年代から変わることがない。前述の映画はそれぞれの時代を投影しているものの、その本質は共通している。だからこそ色褪せず、胸を打ち、音楽に心震わせるのだろう。『ノーザン・ソウル』はそんな英国ユースカルチャーを体現して見せる映画に連なる傑作だ。

監督はカメラマンでもあるエレイン・コンスタンティン。90年代にファッション界で名を挙げた彼女もまた、リアルタイムでノーザン・ソウルに身を捧げたひとりでもある。自分たちが生きた時代の証を残したかった。そんな想いが、カメラマンらしい美しい映像を通して伝わってくる。

『ノーザン・ソウル』
2月9日(土)より新宿シネマカリテ、神戸・元町映画館にてロードショー(以降、全国順次公開)
Film (c) 2014 Stubborn Heart Films ( Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.

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