2019/02/08 15:00

15年ぶり主演作!稲垣吾郎がいま見据えるものとは?『半世界』インタビュー

撮影=平岩享

『半世界』で炭焼き職人の高村紘を演じた、稲垣吾郎。公開は『クソ野郎と美しき世界』(2018年)が先だったが、撮影はこちらが先行していた。独立後初めての映画で、映画主演も『笑の大学』(2004年)以来、久しぶり。美しく優雅な男性や、エキセントリックな役を演じることが多かった稲垣だが、『半世界』では土にまみれ、灰にまみれ、日常にあくせくする中年男性としてそこに存在している。映画俳優として新たな地平に立った彼が、いま見据えるものとは?

主演でしか味わえないこと

(C)2018「半世界」FILM PARTNERS

阪本順治監督はこの作品をスター映画と考え、稲垣主演を想定して脚本を書いたという。

稲垣:「すごく嬉しいです。阪本監督に書き下ろしていただいて。主演でしか味わえないことっていうのはやはりありますし。一つの作品をみんなで作り上げるという意味では一緒なんですけれども、主役とそれ以外では、役者としての味わい方がどこか違いますよね。脇だと、人物がクローズアップされない反面、自分でイマジネーションを広げたり、ちょっと冒険もできる。一方、主人公は軸になっている分、細かく描かれているので、向き合い方が変わってくる。楽しみ方が異なるというか」

紘は南伊勢の山中でひたすら炭を焼く。実直だが妻や思春期の息子になかなか向き合おうとしない、無骨な男だ。阪本順治は稲垣に会ったとき「実は素朴な人」と感じたという。

稲垣:「そう言われることもあるんです。パブリックなイメージでいうと、今回のような土臭い山男というものは僕にはあまりなかった。でも、人は多面性があると思うし、本当の都会の人、洗練された人というのはいないと思うんです。うまく言えないですけど、みんな動物だし、地球から生まれてきているし(笑)。人はだんだん環境や趣味嗜好によって洗練されていくだけなので、素朴だと言われるのは全然不思議じゃない。観る人にはちょっと意外なヴィジュアルかもしれないですが、そこも今回は見どころだと思うし。でもこの映画は『ここが見どころだ』と定まらない感じが、また見どころだと思うんです。観る人の目線によって、家族の話にも見えたり、男の友情の話にも思えたり、夫婦の話にも思えたり。中年の男がこれから人生どう生きていくのか、みたいな話でもあり」

阪本組はみんながみんなを尊重し合っている

(C)2018「半世界」FILM PARTNERS

筆者は最近身内を失くしたせいか、実は冷静に観られない場面もあった。映画について書くことを生業としているのだから、あまり個人的な経験に寄り過ぎた見方をしないようにと思ってはいるのだが、生々しい感情の蓋が開いてしまった。

稲垣:「でも、映画ってそういうもんですよね。その人の観る時によって、見え方とか感じ方は違うし、だから色褪せないものなんだと思う。作品って、音楽でも何でもそうですよね。個人的な見方をしていいと僕は思います。映画というのは、そのためにあるものだと思いますし」

確かに、個に訴える部分のない映画など、やはり面白くない。そういう、少しいびつさのある映画を、阪本順治も撮り続けている。

稲垣:「やっぱり面白いですね、映画というのは。特に阪本組は独特というか。僕は他をそんなに知っている訳じゃないですけれども、他の組だと監督とカメラマンが絶対で、それ以外のスタッフが従う感じがしなくもない。でも阪本組には、そういう順番がないんです。どの部署もそれぞれに主張ができる現場で、光の職人、映像の職人、美術の職人、それぞれがプロの職人たちで、みんながみんなを尊重し、尊敬し合っている。俳優も演技の職人。そうした経験は僕にとってはスペシャルでした」

 

インタビューの続きは『キネマ旬報』2月上旬号に掲載。今号では『半世界』の巻頭特集をおこなった。稲垣吾郎、長谷川博己、渋川清彦のインタビューや阪本順治(監督)らによる座談会、作品評を掲載している。(敬称略)

『半世界』
2018年・日本・1時間59分
監督・脚本/阪本順治
出演/稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、小野武彦、石橋蓮司
配給/キノフィルムズ
2月9日(土)よりTOHO シネマズ 日比谷ほか全国にて

取材・文=石津文子/制作=キネマ旬報社



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