2019/02/24 06:30

オスカー初受賞なるか!実力派ヴィゴ・モーテンセンとは?

(『グリーンブック』3月1日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー)
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オスカー初受賞なるか!実力派ヴィゴ・モーテンセンとは?

本年度の米アカデミー賞で5部門にノミネートされた注目作『グリーンブック』(3月1日公開)。2人の男の珍道中が大きな感動を呼ぶ本作で、ガサツなイタリア系用心棒のトニー・“リップ”・バレロンガを演じるのが、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作で世界的な注目を集め、『イースタン・プロミス』(2007年)や『はじまりへの旅』(2016年)で2度の米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた実力派、ヴィゴ・モーテンセンだ。

本作では役作りのため14キロの増量を行い、実在の人物であるトニーが憑依したかのような演技で3度目のオスカーノミネートを果たしたヴィゴ。アカデミー賞授賞式を前に、初受賞への期待がかかる彼の、これまでのキャリアを振り返ってみたい。

『ロード・オブ・ザ・リング』出演で世界的なスターに

デンマーク人の父と米国人の母を持つヴィゴ・モーテンセン。幼少期にベネズエラやアルゼンチン、デンマークなど世界各地で暮らしていたこともあり、フランス語にスペイン語、デンマーク語など数カ国語を流暢に操ることができるという。

そんなヴィゴは学生時代に、イングマール・ベイルマンにアンドレイ・タルコフスキー、小津安二郎といった映画人の作品に感化されたことがきっかけで俳優を志すようになったという。

舞台などで経験を積んだ後、1985年のハリソン・フォード主演作『刑事ジョン・ブック/目撃者』で本格的にスクリーンデビューし、ショーン・ペン監督処女作『インディアン・ランナー』(1991年)にも出演。後者ではPTSDを患ったベトナム帰還兵を演じ、抑えられない怒りの衝動を家族や周囲にぶつけてしまう危うさや苦しみを見事に体現した。

その後、『G.I.ジェーン』(1997年)や『ダイヤルM』(1998年)といった話題作のほかは、なかなか出演作に恵まれる機会は巡ってこなかった。しかし、そんなヴィゴに大きな転機が訪れる。ファンタジーの傑作『指輪物語』を映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の主要キャラクター、アラゴルン役に抜擢されたのだ。

当初アラゴルンには別の俳優がキャスティングされていたが、撮影開始からまもなく容姿が若すぎるという理由で急遽降板。そこへ、ヴィゴに白羽の矢が立つことになったのだ。1年という撮影期間の長さに一度は断りかけたヴィゴだが、原作ファンの息子の薦めもあり、オファーを承諾する。

ロケ地ニュージーランドまでの飛行機の中で初めて原作に触れたというヴィゴだが、世捨て人ながら王として人々を率いる運命にあるアラゴルンのキャラクター像を作り上げていき、劇中では乗馬や殺陣も披露。次々と敵をなぎ払う強さや様々な難題に苦悩する姿に注目が集まり、作品の大ヒットと共にヴィゴ自身も世界的な人気を獲得することとなった。

奇才監督との出会いがオスカー初ノミネートに

『ロード・オブ・ザ・リング』出演はヴィゴ・モーテンセンにとって、別の意味でもキャリアの転換期となった。『ザ・フライ』(1986年)などの奇才デヴィッド・クローネンバーグとの出会いである。

『ロード・オブ・ザ・リング』のプロモーション中に、クローネンバーグと意気投合したヴィゴ。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005年)や『イースタン・プロミス』、『危険なメソッド』(2011年)といった作品に続けて出演。

3作はいずれも高い評価を獲得し、特に『イースタン・プロミス』はトロント国際映画祭で観客賞に輝いた。同作でミステリアスなロシアン・マフィアの運転手ニコライを演じたヴィゴの演技も評判となり、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞ノミネートほか、彼にとって初のオスカーノミネートという快挙ももたらしている。

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』での過去に暴力的な秘密を抱えた温和な男、『危険なメソッド』の高尚な舌戦を繰り広げる心理学者フロイトなどのクセの強い役で、過去作を含めて演技の幅広さを証明したヴィゴ。クローネンバーグとの出会いが、個性派俳優としてのより強いポジションを確立したともいえるだろう。

映画プロデュースなどマルチな分野で活躍

俳優としての活動のほか、出版社を設立し、自身も絵画や詩、写真、音楽を創作するなど優れたアーティストであるヴィゴ・モーテンセン。スターとなった後も、多数のインディーズ作品に出演し、アルゼンチン映画『偽りの人生』(2012年)や『約束の地』(2014年)ではプロデュースも務め、後者では音楽も兼任している。

その後、俳優マット・ロスの監督長編2作目『はじまりへの旅』に出演。本国アメリカでわずか4館からのスタートだったが、各国の映画祭や賞レースをにぎわせ、600館に拡大し4ヵ月以上のロングラン・ヒットを記録した。

同作でヴィゴは、現代社会に背を向け、6人の子どもたちと山奥で自給自足のサバイバル生活を送る父親を熱演。我が子を愛するが故に極端な教育方針を徹底するも、次第にその自信が揺らいでいく姿が大勢の観客の心を打ち、2度目のオスカーノミネートを果たしている。

『グリーンブック』で3度目のオスカーノミネートを果たす

コメディの名手ピーター・ファレリーが監督を務め、ヴィゴ・モーテンセンとオスカー俳優マハーシャラ・アリが初共演した『グリーンブック』。本作は1960年代のアメリカを舞台に、マハーシャラ演じる天才ピアニストのドクター・シャーリーが、ヴィゴ演じる無作法な用心棒トニーを運転手として雇い、黒人への差別が色濃く残る南部へのコンサートツアーに旅立つ物語だ。

本作でのヴィゴとマハーシャラは、人種はもちろん、育ってきた環境や価値観も違う正反対の男を好演。ぶつかり合いながらも、時間と共にお互いを理解し認め合っていく様子がコミカルに時にセンシティブに描かれていく。初共演ながらその息の合った(?)かけ合いが、観客に笑いと感動をもたらしてくれる。

デンマーク系であるヴィゴはイタリア系のトニーを演じることに不安があったというが、キャラクターや物語に惹かれ、出演を快諾。トニーの実の息子であり、製作・脚本で参加するニック・バレロンガや彼の家族との食事を通して、キャラクターの本質を掴むことに成功した。ニックも「父のように煙草を吸い、食事をしていた」と絶賛している。

過去2度のノミネートでは、惜しくも受賞を逃したヴィゴ・モーテンセン。3度目の正直で初受賞を果たすのかにも注目しながら、『グリーンブック』で名優マハーシャラと共に紡ぐ爽快な友情物語を楽しみにしてほしい。

(文/ヒラキヨシロウ・サンクレイオ翼)

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