2019/03/02 06:30

3分でわかる『スパイダーマン:スパイダーバース』が注目な理由

『スパイダーマン:スパイダーバース』

マーベル・コミックを代表するスーパーヒーロー、スパイダーマンが複数存在する世界で新たに誕生した若きスパイダーマンの成長を、革新的なヴィジュアルで描いた長編アニメーション『スパイダーマン:スパイダーバース』が3月8日(金)に公開される。

全米では封切り前から多くのメディアや批評家たちの話題を集め、公開されると初登場1位を獲得。映画情報サイト「Rotten Tomatoes」では支持率97%を記録し、ゴールデン・グローブ賞やアニー賞など数々の賞レースを席巻した。発表が待たれる第91回アカデミー賞長編アニメーション賞にもノミネートされている話題作がついに上陸だ!

原作は人気コミック『スパイダーバース』

マーベル・コミックは、現在展開中の実写映画シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(通称MCU)で知られる通り、アイアンマンやキャプテン・アメリカなど、独立したヒーローたちが同じ世界に存在し、共闘や敵対しながらクロスオーバーする展開を打ち出している。

その中でも特に高い人気を誇るスパイダーマンだが、映画版しか知らない人は、スパイダーマンになるのはピーター・パーカーだけだと思っている人も少なくないかもしれない。

しかし、スパイダーマンは女性のスパイダーマン、未来のスパイダーマン、ブタのスパイダーマンなど、ピーター以外にも数多く存在する。そんな彼らが次元を超えて集結し、共通の敵に立ち向かう姿を描いたのがコミックシリーズ『スパイダーバース』だ。

『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公である黒人少年マイルス・モラレスのスパイダーマンのほか、未来世界で活躍するスパイダーマン2099、さらには東映テレビドラマ版のスパイダーマンなど、コミックに登場する古今東西のスパイダーマンたちの数は、なんと総勢86名にも及ぶ。

そんな“スパイダーマン祭り”状態の原作を、ストーリーや登場人物を再構成&ブラッシュアップしたのが、『スパイダーマン』初のアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』なのだ。

スパイダーマン:スパイダーバース 340

新たなスパイダーマンの誕生を描く王道のストーリーが展開

原作の設定を踏まえると、多数のスパイダーマンが登場する複雑な作品だと思われるかもしれないが、本作に登場するスパイダーマンは6人に絞られ、ストーリーの交通整理もキッチリとされている。決して「一見さんお断り」の作品ではないので、その点は安心してほしい。

主人公はニューヨークの名門私立校に通う、いたって普通の中学生マイルス・モラレス。ピーター・パーカーことスパイダーマンが活躍する世界で、マイルスは突然変異したクモに噛まれ、スパイダーマンの力を手にする……というおなじみの展開で物語は動き出す。

ある日マイルスは、ニューヨークを影で支配するヴィラン、キングピンの一味が、巨大な装置で異次元の扉を開く実験をしているところを目撃する。そこに現れたスパイダーマンがキングピンの企みを阻止するために奮戦する最中、ピーターはマイルスに自分と同じ力が宿っていることに気付き、コントロールする方法を教えると約束をする。

しかし、あと少しのところで異次元への扉が開いてしまい、ピーターは装置を止めるメモリースティックをマイルスに託し、キングピンに殺されてしまう。スパイダーマンの訃報でニューヨークが悲しみに包まれる中、途方に暮れるマイルスの前に現れたのは、別の次元から飛ばされてきた中年のピーター・パーカーだった……。というのが本作の基本的なストーリーだ。

本作には6人のスパイダーマンが登場するが、ストーリーはいたってシンプル。スパイダーマン作品最大の魅力でもある“少年の成長物語”がしっかりと語られ、最後まで置いていかれることなく楽しめる。

スパイダーマン:スパイダーバース サブ1

圧倒的映像美で描かれる異次元のスパイダーマンたち

王道ストーリーを派手に彩るのが、別次元から来るスパイダーマンたちの活躍だ。

スパイダー・グウェン、スパイダーマン・ノワール、スパイダー・ハム、そして少女ペニー・パーカー。そこにマイルスとピーターを加えた6人のスパイダーマンによるアクションは、まさに“スパイダーマンだけのアベンジャーズ”といった様子で、彼らが縦横無尽に飛び回るシーンは圧巻の出来栄えだ。

また、別次元で存在するスパイダーマンたちの絵のタッチが、あえて統一されていないところも興味深い。スパイダーマン・ノワールはフィルム・ノワール風の白黒で表現され、スパイダー・ハムはポップなカートゥーン調でデザインといった具合に、原作の世界観を変えずに登場させている。

さらに特筆すべきは、圧巻の映像表現。予告編からもその一端は感じてもらえるはずだが、本作のアニメーション表現は独特で、CGと手描きの技法がミックスされている。あらかじめ作り込まれたCGに、アーティストが1フレームごとにアニメーションを描き込んで仕上げるこだわりようで、コミックのキャラクターがそのまま動いているかのような表現を実現させている。

この技法が確立されるまでには試行錯誤が繰り返され、納得のいく10秒間のアニメーションを完成させるまでに約1年もかかったのだとか。ちなみに本作のユニークな制作プロセスは、米国特許商標庁に特許申請されているという。

技術的なことを抜きにしても、全体を形成するポップかつストリートなアートワークはセンスにあふれ、とにかくカッコいい。適当な1コマを抜き出したとしても、それが立派なポスターとして成立してしまうほどのクオリティを備えているので、観るだけで十分楽しんでもらえるはずだ。

映画の記録的大ヒットにはゲーム版が影響している?

『スパイダーマン:スパイダーバース』の大ヒットと直接的なつながりがあるかは定かでないが、2018年に発売された世界累計実売本数900万本を超えるPlayStation 4の大ヒットゲーム、『Marvel’s Spider-Man』の存在は、人々が映画館に足を運ぶための十分な理由になったかもしれない。

ゲームではピーター・パーカーが能力に目覚めてから8年後を背景に、ニューヨークでヴィランとの戦いが展開する。『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公マイルス・モラレスも重要な脇役で登場し、彼がスパイダーマンの能力に目覚める場面が描かれている。

映画と直接的な関わりはないが、ゲームで初めてマイルスを知った人も少なくないだろう。ゲームには彼がスパイダーマンとして活躍するところは描かれていないので、「マイルスの物語がもっと観たい!」と思った人が、映画館に足を運んだ可能性はゼロではない。
映画には、ゲーム版のスパイダースーツがチラッとカメオ出演するので、ゲームを楽しんだ人はぜひとも目を凝らして探して欲しい。

まもなく公開する『スパイダーマン:スパイダーバース』。今年はトム・ホランド版のスパイダーマンが登場する実写映画も2本公開が待機しており、“スパイダーマンイヤー”と言っても過言ではない。その第1弾となる本作はアニメでしか出来ない表現が満載で、これまでのスパイダーマン作品を圧倒する作品に仕上がっていると断言できる。

本作は前述した技術やデザインがこれでもかと詰め込まれているので、画面内の情報量は非常に多い。あちこち目移りしている間に字幕を見逃してしまうかもしれないので、声優もばっちりハマっている日本語吹替版の鑑賞もおすすめだ。

黒いスパイダースーツに、パーカーとナイキのエアジョーダンでキメた新世代のスパイダーマン、マイルス・モラレスの活躍を、ぜひとも劇場の大きなスクリーンで堪能していただきたい。

文=梅崎慎也/SS-Innovation.LLC



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