2019/02/28 11:00

最強ヤンキー漫画『クローズ』の実写シリーズを振り返り!

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tomotomo / PIXTA(ピクスタ)

男たちのバイブル的存在で、連載終了後も絶大な人気を誇る高橋ヒロシによるヤンキー漫画の金字塔『クローズ』。本作の前日譚として、完全オリジナルストーリーで挑んだ実写映画『クローズZERO』シリーズは、小栗旬や山田孝之の好演も話題となり、公開時に“ワルメン”ブームを巻き起こし大ヒットを記録した。

かつて人気を博したヤンキー映画を再び蘇らせた本作の影響で、以降『ROOKIES』をはじめとする現代版の‟新ヤンキーもの“が多く作られるように。また、本シリーズでは次世代を担う若手俳優たちが集結し、『クローズ』の出演以降に大きく飛躍するキャストが大勢いたことから、若手俳優の登竜門的な価値をもつ作品としても知られている。

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今回は、今や立派なスター俳優へと成長した豪華キャスト陣を紹介しつつ、改めて原作と映画シリーズを振り返ってみたい。

爆発的な人気を誇る原作漫画『クローズ』

1990年から8年にわたって「月刊少年チャンピオン」で人気を博した本作は、単行本26巻と外伝3巻を合わせた全29冊が刊行。累計発行部数は4,600万部を超え、90年代を代表するヤンキー漫画との呼び声も高い。

舞台は、中学時代から地元で名を馳せる実力者や、伝説的な不良が何人も在籍する鈴蘭男子高校。偏差値は最低で、世間からは“カラスの学校”と呼ばれる不良の巣窟だ。『クローズ』というタイトルは、不良少年たちをカラス(CROW)に例えたことからきている。

物語は、主人公の坊屋春道が鈴蘭男子高校に転校して来たところから始まる。天真爛漫で自由奔放、そして圧倒的なケンカの強さを誇る春道が、様々な強敵たちとの闘いを通じて友情を育んでいく姿が描かれる。

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ケンカに明け暮れる少年たちの青春ドラマに焦点を絞った本作は、さながらヤンキーファンタジーと言っても過言ではなく、描かれるのはヤンキーたちの日常のみ。本来ならば作中に登場しても不思議ではない“大人”はごくごく稀に登場する程度で、女性に至っては一切登場せず(出ても写真のみ)、キャラクターたちの恋愛描写は台詞で少し語られる程度なのも大きな特徴だろう。

また、キャラクターたちのファッションも注目を集めた。昔ながらのボンタンや長ランといったヤンキーファッションだけでなく、流行のアイテム(当時はウォレットチェーンなど)を取り入れるなど、スタイリッシュに着こなすキャラクターたちに憧れて、現実で真似するファンも少なくなかった。

原作者をも突き動かした奇跡の実写化『クローズZERO』

原作者の高橋ヒロシは、連載中から殺到していた映画化のオファーをすべて断っていた。しかし、主人公である坊屋春道を登場させない完全オリジナルストーリーでということで映画化を許可。それが2007年公開の『クローズZERO』だ。『クローズ』の象徴ともいえる存在を登場させずに作品を成立させるため、時系列は春道が転校してくる1年前に設定された。

メガホンをとったのは三池崇史監督。オリジナルキャラクターと原作の人気キャラが交わり合う中、ド迫力のケンカアクションが炸裂。誰も観たことのない、新しい『クローズ』を作り上げることに成功した。

あらすじ

最強最悪の“カラスの学校”として知られる鈴蘭男子高等学校。多くの派閥が勢力争いを繰り返し、いまだかつて鈴蘭を制覇した者はいない。そんなある日、3年生の“百獣の王”こと芹沢多摩雄(山田孝之)が率いる芹沢軍団が最大勢力として頂点を狙う中、同じく3年生の滝谷源治(小栗旬)が転校してくる。源治もまた、不可能と言われている鈴蘭制覇を狙う男だった。彼は群れることを嫌い単独で行動するが、卒業生のチンピラ・片桐拳(やべきょうすけ)の協力を得て、共に戦う強力な仲間たちを集めた勢力、「G・P・S (源治・パーフェクト・制覇)」を旗揚げし、鈴蘭の勢力図を塗り替えていく。やがて芹沢軍団との抗争はより一層激化し、ついに源治と芹沢、2匹のカラスが雌雄を決する時が来る――

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坊屋春道の代わりとなる主人公・滝谷源治には、当時“王子様”役の印象が強かった小栗旬が大抜擢。ライバル役の芹沢多摩雄には、こちらも不良のイメージからは遠い山田孝之が抜擢されたが、『クローズ』の世界観にドはまりした好演を見せつけ、これまでのイメージを大きく塗り変えた。

また、桐谷健太や上地雄輔、高岡蒼甫、大東俊介といったフレッシュな若手俳優陣が脇を固める中、原作で最強の男として登場する“リンダマン”を演じた深水元基は、原作のイメージを完コピした容姿や佇まいで、実写化に懐疑的だった原作ファンを驚かせた。

原作者の高橋ヒロシも映画の完成度に大満足だったようで、公開時に連載中だった続編漫画『WORST』で、“映画の鈴蘭高校よろしく”落書きで埋め尽くされた校舎のイメージを再現。さらに、滝谷源治や芹沢多摩雄の名前が作中に登場し、原作漫画と映画の関係性はより強固なものになった。

卒業を前に新たな抗争が勃発『クローズZERO Ⅱ』

前作のヒットを受け、2年後に公開された続編『クローズZERO Ⅱ』(2009年)。鈴蘭高校と因縁の深いライバル校・鳳仙学園が対戦相手として登場し、クライマックスでは総勢500名におよぶヤンキーたちが激突する。校庭から校内、教室、屋上と、次々にバトルステージが変化する大乱闘シーンが展開される。

あらすじ

G・P・Sと芹沢軍団の頂上決戦から数ヶ月。鈴蘭最強の男・リンダマンに負け続けていた滝谷源治は、いまだ鈴蘭完全制覇を成し遂げられずにいた。そんな時、スキンヘッドで“殺しの軍団”と恐れられるライバル校、鳳仙学園が鈴蘭の縄張りに現れる。過去の抗争で起きた悲劇から、鈴蘭と鳳仙の間には休戦協定が結ばれていたが、源治は自らそれを破ってしまう。鳳仙のトップに君臨する鳴海大我(金子ノブアキ)の命令で一枚岩と化した鳳仙の猛者たちは、鈴蘭の侵攻を開始。空中分解寸前のG・P・S、沈黙を守る芹沢軍団、好き放題の1年グループ。一つにまとまる気配のないまま、鈴蘭高校はかつてない危機を迎えることになる――

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主演の小栗旬、山田孝之ら、前作に登場した鈴蘭チームはそのままに、新たに鈴蘭と相対することになる鳳仙学園のキャストが合流。そんな鳳仙の殺し屋軍団を束ねる男・鳴海大我を演じたのは、ロックバンド「RIZE」のドラマーであり、俳優としても数々の作品に出演している金子ノブアキ。本作のラスボスにふさわしい好演を見せつけた。

また、鳳仙の幹部で、普段は物静かだがケンカになると憑依したかのように暴れる狂人・漆原凌を、当時ほとんど無名に近かった綾野剛が演じ、圧倒的な存在感を披露した。さらに、原作から登場したキャラである美藤竜也は、漫画では鳳仙学園の3年生だが、今作では1年生のルーキーとして登場。当時頭角を現し始めていた三浦春馬がクールに演じている。

装いも新たに始まる新章『クローズEXPLODE』

完結編と銘打たれた前作から5年、一部を残しキャストが一新されたシリーズ第3弾『クローズEXPLODE』(2014年)が登場する。原作の主人公・坊屋春道が登場する以前の物語設定に変わりはないが、時系列上では原作に追いついてしまったため、今作はパラレルワールドとして考えるのが正しいだろう。

あらすじ

滝谷源治、芹沢多摩雄らが卒業し、新年度を迎えた鈴蘭高校。空席になった“頂点”の座を狙って新3年生たちが次々と名乗りをあげていたが、3年の転入生・鏑木旋風雄(東出昌大)と新1年生の加賀美遼平(早乙女太一)の登場によって、鈴蘭の勢力図が大きく変わろうとしていた。一方、鈴蘭の近隣校・黒咲工業高校を束ねる柴田浩樹(岩田剛典)は、暴行事件で黒咲をドロップアウトした藤原一(永山絢斗)の存在に頭を悩ませていた。藤原は、バイクチームO・D・Aのリーダー織田(柳俊太郎)と共に、周辺の不良高校生たちに次々と襲撃を仕掛け、黒咲と鈴蘭の両方を潰そうとしていたのだ。そんな中、内部抗争によって崩壊寸前の鈴蘭は史上最大の危機を迎えようとしていた――

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監督は、三池崇史から『青い春』(2001年)で新世代の不良を描いた豊田利晃にバトンタッチ。それにより、原作漫画と親和性の高かった前2作とは少々毛色の違う、新たな『クローズ』ワールドが構築された。

主人公の転校生・鏑木旋風雄を演じたのは、本作が映画初主演となった東出昌大。およそヤンキーのイメージからは程遠い東出だが、長身を活かして圧倒的なアクションを披露している。

共演には早乙女太一のほか、柳楽優弥、勝地涼、永山絢斗らが顔をそろえ、今作が映画初出演だった三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEから岩田剛典とELLY、そして劇団EXILEのメンバーでラッパーのSWAYが参戦。彼らLDH組は、日本映画界のアクションレベルを大幅に引き上げた『HiGH&LOW』シリーズのメインキャストとして活躍することになる。

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意外な広がりを見せる『クローズ』ワールド

『クローズEXPLODE』の製作発表会にて山本又一郎プロデューサーは、映画化は元々6本の予定だったとコメントしていたが、残り3本の制作が実現するのかどうかは今のところ不明。しかし、ここにきて新たな展開があった。

2018年に公開された『HiGH&LOW』シリーズのスピンオフ作品『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』のイベントで、“鳳仙学園 VS 鬼邪高校”という『クローズ』と『HiGH&LOW』のクロスオーバー作品が決定したと明かされたのだ(鬼邪高校は『HiGH&LOW』内に登場する高校の名称)。タイトルなど詳細は未定だが、この意外すぎる組み合わせに期待せずにはいられない。

文=梅崎慎也/SS.Innovatinon.LLC

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