2019/03/01 06:30

【インタビュー】石川由依&島﨑信長、アフレコは励まし合うところから始まった

写真左から石川由依、島﨑信長

『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』三部作で知られるピーター・ジャクソンが贈る最新作『移動都市/モータル・エンジン』(現在公開中)。移動型の都市が地上を支配する世界を舞台に“移動都市”の迫力の映像が繰り広げられる冒険ファンタジー大作で、圧倒的な力で他の都市を駆逐する巨大都市ロンドンの脅威に孤高の少女・ヘスター・ショウらが立ち向かっていく姿を描いている。

今回は本作の日本語版吹替のメインキャスト二人を直撃。復讐心を胸に秘めて戦うヒロイン・へスターの声を担当した石川由依と、へスターとともに真実を追い求めていく青年トム・ナッツワーシーを演じた島﨑信長に、作品への思いやアフレコ現場での苦労を語ってもらった。

移動都市/モータル・エンジン

『移動都市/モータル・エンジン』(C)Universal Pictures

移動都市の迫力の映像と人間関係をしっかり描いた作品

――本作のどういうところに魅力を感じましたか?

石川由依(以下、石川)本当にスケールが大きい作品だと思いました。“移動都市”が動く迫力に、アクションもかっこいいし、ストーリーもいろいろな人間関係が絡んでどうなるのかな? と終始ドキドキ、ワクワクさせられました。私はファンタジーが好きなので、出演が決まったときはこの世界に入り込んで登場人物の一人になれるのがすごくうれしかったですね。

島﨑信長(以下、島﨑)僕もファンタジーは大好きなので、すごく気持ちの高まる作品でした。ド迫力の映像やアクションも好きなのですが、スケールの大きいものを描きつつも個々の人間関係やバックボーンまでしっかり描いているのが印象的でした。へスターと僕が演じたトムが、一緒に行動して少しずつお互いを受け入れていくやりとりもすごく自然で、演じるうえでセリフを細かく掘り下げたときに、「なんで彼はここでこう言ったんだろう?」という疑問はあまり出てこなくて、「わかるわかる」とトムの言葉に共感するところが多く、大きなストーリーの流れも細かい言葉のやりとりも完成度の高い作品だなと思いました。

移動都市/モータル・エンジン サブ1

石川が声を演じたヘスター・ショウ(ヘラ・ヒルマー)(C)Universal Pictures

――それぞれ演じた役にどんな印象を持ちましたか?

石川 へスターはとにかくくじけない人。彼女はつらい状況に陥ったり自身が怪我をしたりする中でも、復讐という目的を成し遂げようと突き進んでいくんです。そんな中でたまたまトムに出会う。最初は自分の行動を妨げる彼に冷たくするけど、トムの優しさに触れたり、彼が少しずつたくましく成長するのを見たりして、へスターの心に憎しみだけじゃなく優しさや他の人に対する広い視野が生まれていく。この彼女の気持ちがほぐれていく感じをきちんと表現できたらと思いながら演じていました。

島﨑 トムはいい意味でしぶとい人だなと思いました。移動都市ロンドンで普通に暮らしていた彼は、突然知らない世界に放り出されるんですが、それでも心が折れないんですよね。大変な状況に陥っている中でも、スベるけど冗談を言ってみたり(笑)ちょっと強気に出てみたりして、心が苦境に負けないところが素敵だなと。あと、トムはそれまで知っていた常識などにとらわれず自分が見たり聞いたりしたことを大切にしているんですね。へスターに対しても実際に触れあったり会話したりする中で徐々に彼女の人柄や生き方を理解して受けとめていく。この彼の柔軟さがすごく好きで、僕もトムのような人になれたらなと思いました。

移動都市/モータル・エンジン トム

島﨑が声を演じたトム・ナッツワーシー (ロバート・シーアン)(C)Universal Pictures

アフレコ現場では、お互いに不安だった?

――今回、お二人揃ってアフレコをされたそうですが、現場はどのような感じでしたか?

島﨑 実写映画の吹替でメインというのはあまり慣れていなくて、しかも「すごい大作だぞ」という気負いもあったんです。石川さんのほうがきっと吹替の経験もたくさんあって大得意なんだろうなと思っていたんですが……。

石川 実は……経験はそれほどないんです。その話を現場で最初にしましたよね。

島﨑 だから、お互いに不安を抱きつつ現場にのぞんだ感じで。

石川 そう、二人ともお互いに「あちらはできるんじゃないか……」みたいなことを思っていたら、二人とも不安だったということで「ああ、よかった」っていう安心感が最初に(笑)。

移動都市/モータル・エンジン 石川由依インタビュー

島﨑 だから、まずは「大丈夫だよ」「がんばろうね」と励まし合うところから始まったんですが、現場のスタッフの方々がとても温かく丁寧に対応してくださったので、不安だったのは最初だけで、すごく集中して楽しくやれました。

石川 本当にスタッフの方たちがすごく優しかったですね。やっていて自分で納得がいかなかったところは自己申告制で「もう1回やらせてほしい」とお願いして何度もやらせていただいたんです。そういう自分から発信できる現場にしていただいたのはとてもありがたく、やりやすい現場でした。

島﨑 そうですね。やり直しが自己満足になりうる可能性もある中で、「こういう理由でもう1度やりたい。どうでしょうか」と投げかけさせてもらって、「じゃあそれで行きましょう」と言っていただけたのは、すごくやりやすかったです。

移動都市/モータル・エンジン ヘスター&トム

『移動都市/モータル・エンジン』(C)Universal Pictures

呼吸の芝居に苦労「気持ちで合ったら最高」

――本作のアフレコで特に難しかったお芝居などはありましたか?

石川 苦労したのは息芝居がすごく多かったこと。へスターは会話よりも、動いたり戦ったりの描写が多くて、実際に彼女が呼吸しているかのように自分の呼吸を合わせていくのが難しかったです。

島﨑 僕もやっぱり呼吸の部分です。現場で「ここ、(映像では)吸っている気がしたんですけど、僕今吐きましたよね?」と確認したこともありました。息を吸う・吐くというのは、たとえば、大事なことを伝えるときに深呼吸してから言う人もいれば、一息フッて吐いてから話し出す人もいて、セリフと息はたぶん解離はしてないんです。そして、呼吸を合わせることで実写の役者さんとリンクしていけるとも思ったので、そこはすごく意識しましたね。

移動都市/モータル・エンジン 島﨑信長インタビュー 声優

――呼吸の演技というのは、映像を何度も見返し、タイミングを覚えて合わせていく作業なんでしょうか?

島﨑 たとえばキャラクターがアップで映って動いているところを厳密にチェックして合わせたり、画面に映っていない場合もセリフとともに呼吸を合わせたりします。今回やりたかったのは、物理的なチェックをしつつも、演じるときに“気持ち”で合わせること。大先輩方を見ていると、自然に役と一緒に呼吸していて、セリフの始まりもぴったりと合っている。それができたら最高だなと、映像を何回も観て一生懸命予習もしましたが、現場では半分それを忘れて、結果的に気持ちでやって合う……というのを目指しました。

石川 私もそれが一番いいなと思ってやっていました。実写の吹替はまだ慣れていないだけに、チェックをたくさんして、その場面が「どういう状況なのか」とすごく考えるんです。ただ、チェック通りにやって成功するかどうかはまた違うので、そこは身をゆだねるというか、キャラクターと同じ気持ちで声を発して合うといいなと思ってがんばりました。

移動都市/モータル・エンジン ヘスター&トム 声優

『移動都市/モータル・エンジン』(C)Universal Pictures

お気に入りは、アナ・ファン&シュライク

――石川さんは非常に厳しい運命を生き抜くヒロインという役どころですが、へスターを演じる上で特に苦労した部分は?

石川 へスターは顔に傷を負っていて、それを隠すためか顔の一部を赤いマフラーで隠して行動しているときがあるんです。彼女が顔を隠しているときは私も現場でマスクをつけて収録をしたので、その物理的な難しさがあり、さらに表情が全部見えないだけに声でしか伝えられない部分があって、セリフや呼吸でどうしたら伝わるのかなというのはすごく考えました。

移動都市/モータル・エンジン 石川由依インタビュー 声優

――へスターは物語の序盤ではクールさを貫いていましたが、そのあたりの演技はいかがでしたか?

石川 序盤はヘスターがあまりしゃべらないため、呼吸の演技などで怒りを表現しないといけなかったのですが、ただぶつける怒りなのか、それとも念じて呪いをかけるようなものなのかといろいろ迷いました。最初のうちはミステリアスな感じが強くて表現には悩みましたね。

――島﨑さんが演じたトムは劇中でも最も観客の視点に近いキャラクターですが、演じる上でどんなことを意識しましたか?

島﨑 素直にやろうと思いました。確かにトムは持っている情報量や劇中で起こる出来事に対する反応の仕方が観客に一番近いキャラクターなんですが、あまりそこは意識しなかったです。僕がトムとして目の前で起こることに自然な反応をしていけば、そこで観ているお客さんも入りやすくなるのではと思ったので、何よりもリラックスして素直に演じることを心がけました。

移動都市/モータル・エンジン 島﨑信長インタビュー

――迫力の映像や人間ドラマなど見どころがたくさんある本作ですが、お二人それぞれが好きなシーンをあげるとしたら?

島﨑 好きなのは反移動都市同盟の戦士・アナ・ファンとへスターが絡むシーンですね。トムと出会った当初のへスターは強い戦士という感じですが、だんだん人間らしいところやかわいい部分が出てくる。そして、アナが完成度の高い人間なだけに、彼女と接したときにヘスターの未熟な部分が浮き彫りになって急に普通の女の子らしく見えてくるんです。アナと絡むとヘスターも光るし、アナもかっこいい。それぞれのキャラの魅力が引き出されて観ている人が彼女たちをもっと好きになれるいい絡みだと思いました。

石川 私は人造人間のシュライクが好きなんです。感情がない彼は愛を知らないはずなのに、見ているとヘスターへの愛が絶対にある。へスターを追い詰めようとするけれど、その気持ちもある意味“究極の愛の形”であって、意外と彼が一番人間味があるなと思いました。シュライクとへスターの二人のシーンは一番泣きそうになったところでもありましたね。

(取材・文:田下愛/写真:横村彰)



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