2019/04/15 06:30

【インタビュー】岸井ゆきの&成田凌、2人の間に“愛”はあったのか?

岸井ゆきの(左)成田凌(右)

直木賞作家・角田光代の同名小説を実写化した『愛がなんだ』(4月19日公開)。物語は28歳のOL・テルコ(岸井ゆきの)と、彼女が友人の結婚パーティで出会ったマモル(成田凌)の2人を軸に描かれる。マモルに一目ぼれしたテルコは、仕事や友人をそっちのけでひたすら彼を想い彼中心の生活を送るように……しかし、二人は恋人同士ではなく、マモルは微妙な距離感でテルコを翻弄するばかり。一方通行なテルコとマモルの関係や、彼らをめぐる人々の恋愛群像ストーリーが展開されていく。

本作で悩める等身大の若者を演じた岸井ゆきのと成田凌に話を伺った。

「難しく考えずマモちゃん一直線」「主観になるとすべてに共感できた」

――お二人が演じたキャラクターは、全面的に共感するのはどうなのか……と思ってしまう難しいさじ加減の役でしたが、演じる上で意識したところは?

岸井ゆきの(以下、岸井) 最初に原作読んだときは、テルコに対して「すごい熱量だな」と少し引いてしまった部分もあったんです。でも、彼女の主観で考えてみたらそれほど複雑ではなくて、むしろ、単純すぎるくらい「ただ、マモちゃんが好き」というところに力を集中させている。

他のものを捨ててしまうのは、私には理解できないけれど、好きなものに一直線になるとか、そういう気持ちってみんなが持っているものだなって。難しく考えずにマモちゃん一直線で行きました。あと、現場であまり成田くんと仲よくならないほうがいいなと思って、あまりおしゃべりしないようにしていました。

愛がなんだ

『愛がなんだ』(C)2019「愛がなんだ」製作委員会

成田凌(以下、成田) 僕もときどき「ここでこれを言うのはすごいな」と思うセリフもありましたが、岸井さんが言ったように理性を捨てて主観になると「別に言えちゃうかな」というところもあり、すべてに共感できるなと感じました。演じるときに考えたのは、マモルが”意識的”にやることと“無意識”でやっていることの差です。

たとえば、マモルは焼き芋を分け合って食べる時、食べ始める直前に気がついて紙袋がついた側をテルちゃんに渡す気遣いをするけど、それをわざわざ見せつけるところがある。それと、二人で歩くときは絶対にテルちゃんが車道側っていう(笑)。観る人がマモルにイラっとくる瞬間をハッキリとさせたかったんですが、一方でどれくらいマモルの行動が意識的なのかは常に曖昧にしようと思いつつやっていました。

――岸井さんが現場で成田さんとおしゃべりをしなかったというのは、マモルとの距離感を作ることを考えて?

岸井 そうですね。やっぱり仲がいいと画面に出ちゃうと思うんですよ。現場で仲よくなって空気感がすごくよくなる場合もあるけれど、今回のマモちゃんとテルコはそういうのがないほうがいいだろうなと。テルコってマモちゃんのことをすごく好きな割に本音でお話してないなと思ったんです。いつも、本音の一、二歩前で止まって気を使っている。その微妙な距離感を表現するためにも、あまり近くなりすぎないようにしていました。

愛がなんだ 岸井ゆきの インタビュー

岸井ゆきの

――テルコは同性から見ると「何やってんだよ」という感じもあるのですが、その一方でどこかかわいく愛おしく感じさせるところもありました。そういうところを演技で意識はされました?

岸井 どう見られたいは、演技において邪念になると思っていて。それよりも、テルコがどれだけマモちゃんを好きかというところを意識してテルコ目線でやっていました。それが画面を通してかわいらしく見えたのだったら、すごくうれしいですね。

――成田さんは、演じているときに客観的にマモルを見てイラっとする瞬間はなかったですか? 

成田 演じているときはなかったんですが、あとから映像で居酒屋のシーンを観たときにイラっとしましたね(笑)。マモルがしゃべりながら、食べてもいないのに口をくちゃっとさせる、ちょっとスカした感じが「俺、こんなことやってたんだ」と思いました。ただ、そこには自分で意識していた“力の入っていない感じの奴”がいたので、そういうユルさが無意識に出てていたのはよかったなとも思いました。

岸井 居酒屋のシーンは、「さっきと少し変えようか」と何回も撮り直したので、いろいろな表情やしぐさが出たんだろうなぁ。

成田 12回くらいやったもんね。自分ではあそこまでイラつく感じでやったつもりはなくて、たぶん、僕の個人的な悪い部分が出てしまった部分もあると思うので、そこは気を付けようと思いました(笑)。

――テルコとマモルにとっての“愛”とは何だったと思いましたか?

岸井 テルコにとっての愛はマモちゃんだと思います。すごく一方的なものだとは思うんですけれど。

成田 それを曖昧にしている物語でもあるので、難しいですね。でも、マモルも多少の情みたいなものがあって、それは愛の一つとも思えるし、「愛している」ではなくとも、何かしらの愛はあったのかなという気がします。

愛がなんだ 成田凌 インタビュー

成田凌

ラップのシーンは「なくなるだろうな」と思っていた

――物語の後半で、テルコの恋敵であるすみれ(江口のりこ)が現れますが、マモルのすみれへの想い、成田さんはどういうものだと解釈されましたか?

成田 マモルはテルコに対してはある種の甘えというか、ふとしたときに帰る場所ぐらいに感じていたと思うんです。しかし、すみれさんは、そういう気持ちをもたせてくれない緊張感のあるやりとりができるからかっこよく見えるし、服装的にも派手で見ていて面白くて今までに知らなかったタイプ。だから、単純なちょっとした憧れみたいな気持ちだったんじゃないかと思います。

――すみれに対する感情をテルコがラップで吐き出すシーンはすごく印象的でした。岸井さんはあのラップにどんな思いで挑まれたんですか?

岸井 長回しの撮影だったこともあり、本当に緊張しましたね。ラップを始める前の場面でテルコはすごく傷ついてしまうんです。だから、私自身「すごく傷ついた」気持ちを抱えてラップに挑んだんですが、ちょうど、当時サッカーのワールドカップをやっていて、撮影をしている街中はその熱気で騒がしかったんです。撮影自体はすごく緊張感があって、傷ついた気持ちでいて、でも街中からサッカーで盛り上がるのが聞こえてくる……という混沌とした状況。でも、そうやっていろいろな状況が相まったおかげで、ラップにも複雑に入り混じった心情をのせられたかなと思います。

ラップのシーンは準備稿から入っていて、最初は「え、ラップ?」って驚きました。正直「これはなくなるだろうな。ないない」と思っていたほどです(笑)。けれど、すごい重要事項のように台本の中で抱えられていて、経験も無くて「ヤバイな」と思っていたら、音源が送られてきて、ラップの先生がついて(笑)

完成した映像では、私のアカペラのラップになっていますが、最初はビートも入っていたんです。ラップが上手くてということではなく、感情にのせているからということでアカペラになったようでして……今でも「大丈夫かな、皆さんあれを観てどんな気持ちになるのかな?」と気になるところですね。

愛がなんだ 岸井ゆきの 成田凌

『愛がなんだ』(C)2019「愛がなんだ」製作委員会

愛がすべてだと思う人も思わない人も観てほしい

――劇中では、テルコやマモルが仕事から離れて泊りがけで遊びに出かけるシーンがありますがが、お二人は休日などにお仕事を離れて楽しんでいることはありますか?

成田 料理しているときは夢中になりますね。得意料理は普通ですけど、カレー。2日くらいかけて作ります。友達が家に来たときに作った料理を振舞うのも好きなんですが、そうしてると、友達の注文が多くなってきて「何かつまみほしいな」っていわれて「はい!」みたいな(笑)。

岸井 私は、お仕事と別で演劇や映画を観に行くのが好きですね。

成田 それは、仕事と切り離して楽しみながら観られるの?

岸井 切り離せる。仕事と関係なく観られるのは自分でもすごいなと思って。舞台を観ていて、セットとか照明が綺麗ってことだけで泣きそうになることもあります。

――テルコとマモルのように恋や生き方に悩む方たちに、お二人からメッセージをお願いします。

成田 悩んでいない……と思っている人もこれを観たら「あれ、自分は大丈夫かな?」という気持ちになるかもしれません。ちょっと心が痛む、腫れもののような傷を抱えている登場人物たちが、触れずにいたものに触れてしまうドラマですが、少し勇気をもらえたり、救われたりするような部分もある作品に仕上がっているので、男女が出会って関係が始まる物語として「こういう形もある」と思って観てもらえたらと思います。

岸井 さまざまなタイプの登場人物が出てくるので、誰かしらに感情移入できると思います。テルコに勇気をもらう人もいれば、他の誰かの言葉に自分を見る瞬間もあったりして、きっと何かを持ち帰れるものがある映画です。悩んでいる人も悩んでいない人も、愛がすべてだと思う人も思わない人もぜひ観てほしいです。

(取材・文:田下愛/写真:横村彰)

[岸井ゆきの]ヘアメイク:星野加奈子/スタイリスト:岡本純子(アフェリア)/ワンピース¥38,000(REKISAMI)
[成田凌]ヘアメイク:宮本愛(yosine.)/スタイリスト:伊藤省吾(sitor)



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