2019/04/16 06:30

“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーの色あせない魅力

『アガサ・クリスティー ねじれた家』4/19(金)より 角川シネマ有楽町、 YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
(C)2017 Crooked House Productions Ltd.

著作が世界中で読み継がれている“ミステリーの女王”ことアガサ・クリスティー。彼女自身が<最高傑作>の一つと太鼓判を押す格調高きミステリーを映画化したのが『アガサ・クリスティー ねじれた家』(4月19日公開)です。

大胆なプロット(あらすじ)で人々の予想の裏をかく良質の作品を世に送り出し続けたクリスティー。なぜ彼女は我々を魅了するのか? その生い立ちから紐解いていきます。

アガサ・クリスティー、その数奇な生い立ち

クリスティーは1890年、イギリスの比較的裕福な家庭で三人兄弟の末っ子として誕生しました。私立校に通った姉兄とは異なり、母親の独特の教育方針で育てられた彼女は正規の学校教育を受けなかったといいます。

使用人と遊び、父親の書斎にあった本を読みふける毎日を送っていたクリスティー。こうした家庭環境が彼女に思索の時間を与え、常人とはひと味違う発想の土台を作っていったのでしょう。

11歳の時に父親が亡くなり経済状況が悪化すると、彼女は小説を書き始めます。そして1914年、24歳でアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年にデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』を発表したのち、1926年の『アクロイド殺し』での大胆なトリックや犯人の正体を巡ってミステリー・ファンの間で大論争を巻き起こすなど一躍人気作家となります。

その後も『ABC殺人事件』や『そして誰もいなくなった』といった人気作を手がけ、1976年に85歳で亡くなるまで、長編&短編に劇曲も合わせて200作以上の作品を世に送り出すなど精力的な執筆人生を送っています。

次々とメディア化されるクリスティー小説

エルキュール・ポアロやミス・マープルなど、彼女の作品には個性豊かな探偵たちが登場。今も、そのキャラクターは多くの人に愛され、彼らが登場する作品の数々は舞台や映画、テレビドラマなどで何度もメディア化されてます。

アガサという名前は、日本でも『名探偵コナン』に登場する阿笠博士の名前の元ネタになったということで知った世代もいるかもしれません。また、2017年からテレビ朝日で『そして誰もいなくなった』を皮切りに定期的にクリスティー原作のスペシャルドラマが放映されています。

海外でもクリスティー原作の作品はたくさん作られており、最近では、これまで何度も映像化されてきた『オリエント急行殺人事件』が、2017年に映画化されました。数々のシェイクスピア劇の舞台に立ってきた名優ケネス・ブラナーが監督&主演を務め、ジョニー・デップやペネロペ・クルス、ウィレム・デフォーなど豪華キャストの出演で話題を集めました。

クリスティーの小説が何度もメディア化されるのはひとえに彼女独特の作家性といえるでしょう。巧みに忍ばされた伏線と徐々に全貌が明らかになっていく緻密なストーリーはもちろん、魅力的な主人公を中心にひとクセある登場人物たちが織り成すエグ味のある人間模様が長年に大勢を魅了してきました。

クリスティーが自身の最高傑作の1つと語る『ねじれた家』が初映画化

(C)2017 Crooked House Productions Ltd.

クリスティー原作の最新作『アガサ・クリスティー ねじれた家』は、巨万の富を築いた<伝説的人物>の殺害捜査を依頼された私立探偵が、事件の真相と華麗なる一族の心の奥底までを暴いていく物語です。

若き私立探偵チャールズ(マックス・アイアンズ)は、かつての恋人ソフィア(ステファニー・マティーニ)から彼女の祖夫である大富豪レオニデスの毒殺事件を秘密裏に調査するよう依頼されます。ソフィアを含めた一族全員に殺害動機があることが判明したのも束の間、屋敷では第二の殺人が起きて……。

(C)2017 Crooked House Productions Ltd.

クリスティーが1949年に発表した原作の『ねじれた家』は、マザー・グースの童謡「ねじれた男」をモチーフに執筆されました。クリスティーが「私が満足している二作は『ねじれた家』と『無実はさいなむ』である。本作が私のベストだという確信はまちがっていないと思う」と最高傑作の一つに挙げています。

監督を務めるのは『サラの鍵』(2010年)のジル・パケ=ブレネール。クリスティーのスキャンダラスかつブラックユーモア溢れる世界観を生かしながらも、華麗で奇妙な大富豪一族の嘘と秘密にまみれたお家騒動をドラマティックに描きます。

70年たっても色あせない“心のねじれた”家族をめぐる刺激的な謎解きに陶酔すること必至の極上ミステリーをどうぞ。

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)



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