2019/04/12 06:30

これは大事件! なぜ今、傑作ホラーが相次いでリメイク!?

『ハロウィン』4月12日(金)、全国公開
(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS

文=浦木 巧/Avanti Press

“姉さん、事件です!”──というのは高嶋政伸主演のTVドラマ「HOTEL」でおなじみフレーズですが(って、かなり古いですね)、つい誰かに報告してしまいたいくらい、映画ファンにとって嬉しい異常事態が続いています。

つい先日、1977年に製作されたイタリアン・ホラーの金字塔『サスペリア』がリメイクされたと思ったら、これまた1978年に巨匠ジョン・カーペンターの大出世作となった『ハロウィン』の実質的リブート作(“第1作から40年ぶりの続編”という形)が、4月12日から公開されるというじゃありませんか!

さらに7月には、射殺された凶悪犯の魂が乗り移った殺人人形チャッキーが大暴れする、1988年製作の『チャイルド・プレイ』のリメイク作までが待機。これはもう往年のファンはもちろん、オリジナル版未体験者にとっても注目作となるのは間違いありません。

ではなぜ今、これほどリメイク、それもホラーの名作が次々と復活するのか? 今回はその理由をちょっと探ってみましょう。

『ハロウィン』 4月12日(金)、全国公開
(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS

数字が読める安心銘柄、でも理由はそれだけじゃない!

『アベンジャーズ』に『ジュラシック・ワールド』、そして『ミッション:インポッシブル』と、近年の大ヒット作を見ると、人気シリーズの続編&関連作が並びます。身もフタもない話ですが、実績のある作品の続編やリメイクは、映画会社にとって“安心できる銘柄”というわけです。

ただし上記シリーズの新作やSF、スペクタクル映画のリメイクともなると製作費は1億ドルが当たり前(『ブレードランナー』の35年ぶりの続編となった『ブレードランナー 2049』は製作費1.5億ドル!)。それに対してホラー映画は、ド派手なシーンが満載の『ドーン・オブ・ザ・デッド』(1978年の『ゾンビ』のリメイク作)や『バイオハザード』シリーズであっても、製作費は3,000万〜4,000万ドル程度。低いリスクと高いコストパフォーマンスが期待できる側面があるのです。

ホラー映画に詳しい人なら、2000年代にも前述の『ドーン・オブ・ザ・デッド』のほか『13日の金曜日』、『エルム街の悪夢』、『ハロウィン』、『テキサス・チェーンソー』(『悪魔のいけにえ』)と名作ホラーのリメイク・ブームがあったことをご存知と思います。この時も製作費を上回る手堅いヒットを記録しましたが、今回のリメイク流行りを大きく後押しするのが「ホラー映画が大ヒットしている」という状況です。

日本でも大ヒットし、全米ではホラー映画史上最大のヒットを記録した『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』をはじめ、『ドント・ブリーズ』、『スプリット』、『クワイエット・プレイス』など、興行収入1億ドルクラスの作品が次々と生まれ、『ゲット・アウト』に至ってはアカデミー賞脚本賞も受賞する快挙を成し遂げました。同作のジョーダン・ピール監督最新作である『Us(原題)』は、『キャプテン・マーベル』に次ぐ今年第2位となるオープニング興収を記録! 文字通り、ホラー映画が“旬”なのです。

『ハロウィン』 4月12日(金)、全国公開
(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS

ブームの影に、名物プロデューサーの影あり!

さて、このホラー映画の活況を語るのに、絶対に外せない名物プロデューサーがいます。ジェイソン・ブラムという名前にピンときたなら映画通、そうじゃなくても、『パラノーマル・アクティビティ』、『死霊館』というシリーズ名は聞いたことがあるはず。まだ知られていない監督や脚本家を見出し、創造性とアイディアにあふれた低予算ホラーで着実にヒットを積み重ねてきた人物です。

キャリアが低迷していたM・ナイト・シャマラン監督に『ヴィジット』を撮らせ、『スプリット』、『ミスター・ガラス』での再評価につなげたのも、このブラム(もちろん、両作もプロデュース)。前述の『ゲット・アウト』や『Us』もブラムのプロデュース作と聞けば、ホラー映画のクオリティを保証する一因と言っても納得感があるでしょう。

そして4月に控える新しい『ハロウィン』にも、このジェイソン・ブラムの名前が。近年は『ラ・ラ・ランド』のオスカー監督、デイミアン・チャゼルの出世作『セッション』や先のアカデミー賞で脚色賞を受賞したスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』の製作にも名を連ねていて、その活躍はホラー映画に留まりません。ぜひ注目しておいてほしいプロデューサーです。

『ハロウィン』 4月12日(金)、全国公開
(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS

リメイク作を手掛けるクリエイターにもこんな理由が!

『サスペリア』、『ハロウィン』は公開から40年、『チャイルド・プレイ』も公開30年を超えましたが、幼少時にそんな傑作ホラーにインパクトを受けた世代が成長し、「自分が作りたいものを作れるような映画監督になった」という背景も考えられます。

リメイク版『サスペリア』を手掛けた、アカデミー賞受賞作『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督は、「10歳の時にオリジナル版のポスタービジュアルに衝撃を受け、13歳で本編を観て以来、ずっと自分で再構築することを願っていた」と公言しています。

そして新たな『ハロウィン』の監督を務めたデビッド・ゴードン・グリーン(そういえば、メイク版『サスペリア』の監督候補として名前が挙がっていた時期もありました)も、「オリジナル版を観た12歳の少年期の記憶から逃れられない」と語っています。

またホラー映画のみならず近年の娯楽映画の特徴として、カット割りが過剰に細かく、映画のリズムが非常に速いということがあります。『ソウ』シリーズが顕著ですが、2000年以降のホラー映画は明らかにゲームの影響が強く、カットバックを多用した反射的・直感的なショック演出を多用したものが多く見られます。

そんな中で、若いクリエイターや観客たちが新しい表現を求め、70年代〜80年代の傑作群のたたずまい=アナログ的な表現や長回しが醸し出す心理的な恐怖に回帰したということもあるかもしれません(映画界全体で見られる、80年代、90年代の世界観ブームも同じ理由からかもしれません)。

昨年、映画ファンの話題をさらった『ヘレディタリー/継承』も、70年代のオカルトホラーに通じる端正な趣きがありましたよね。

『ハロウィン』 4月12日(金)、全国公開
Anything labeled AA68_D is: Ryan Green/Universal Pictures

リメイク・ブームは、まだまだ終わりそうにない!

『ハロウィン』、『チャイルド・プレイ』に加え、スティーブン・キング原作の『ペット・セメタリー』(4月全米公開)、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編『It: Chapter Two(原題)』(9月全米公開)が控えるほか、ジョーダン・ピール監督が2020年に手掛けるという人気カルト作『キャンディマン』、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮の90年作を『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が手掛ける『アラクノフォビア』、そしてオリジナル版のジョン・ランディス監督の息子 マックス・ランディスが監督・脚本を手掛けると発表された『狼男アメリカン』などなど、傑作ホラーのリメイクは、まだまだ終わりそうにありません。

映画ファン、ホラー好きの皆さん、大いに期待しましょう!

『ハロウィン』 4月12日(金)、全国公開
(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS



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