2017/08/03 15:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「オラファー・エリアソン 視覚と知覚」

横浜トリエンナーレにも参加するオラファー・エリアソン
横浜トリエンナーレにも参加するオラファー・エリアソン

 本作にはあっと驚くような展開や、ローラーコースターのような起承転結もない。しかし「アートとは何か」ということをじっくり考える玄関口として、最高に素晴らしい映画である。

 本作の主人公である現代アートの作家、オラファー・エリアソンはこう語る。「アートは世界を変えるひとつの手段であり、人は世界を変えることができるんだ」

 これだけではわかりにくい。「世界を変える手段」なら政治や革命がそうなんじゃないのか? アートで世界を変えることなんてできるのか? そもそも「アートは目の前の飢えている子供を救えるか」という昔から問われ続けている問題もある。

 補助線を一本引こう。東京都現代美術館のチーフキュレーターだった長谷川祐子さんは、こう書いている。

 「イデオロギーやメタ思想が無力化する中で、体験や出来事が重視されている。歴史の不連続性、身体と文化的風土との断絶、国民国家(nation)とnon-nationとの交錯した構造は、私たちの中の《いま、ここ》への関心と検証を増大させている」(『キュレーション 知と感性を揺さぶる力』2013年、集英社新書)

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