2018/11/05 14:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「華氏119」

「華氏119」の一場面 (C)Paul Morigi / gettyimages (C)2018 Midwestern Films LLC 2018
「華氏119」の一場面 (C)Paul Morigi / gettyimages (C)2018 Midwestern Films LLC 2018

 [映画.com ニュース] 激しい怒りとアジテーションに満ちた作品で、マイケル・ムーアらしさが全編に溢れている。タイトルはムーア自身の過去作「華氏911」のもじりで、トランプが大統領選挙に勝った2016年11月9日を指している。

 本作がなぜこれほど怒りに満ちているのか。それが「トランプごときがアメリカ大統領になるなんて!」という素朴な脊髄反射ではないことは、ムーアの出自が示している。

 ムーアの出身は、ミシガン州フリント。ここはかつて自動車産業で栄えた町で、ムーアの父親も自動車工場に勤めていた。このミシガン州など五大湖の一帯は、自動車を始めとする重工業が発展したエリアだったが、近年の空洞化ですっかり寂れ、ラストベルト(錆びついた地域)というような呼び方もされている。

 しかしこのラストベルトは、長年見捨てられてきた。共和党は富裕層の政党となり、一方の民主党もラストベルトの貧困白人層に救いの手を差し伸べることはなかった。これは日本でも見られる現象だが、すべての弱者を包摂すべきリベラルな人たちはLGBTや人種などの「選ばれた」マイノリティにばかり目を向け、貧困に陥ったマジョリティにはなぜか目を向けない。

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