2019/06/30 12:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「シード 生命の糧」

遺伝子組み換え技術や農薬に対する非難、有機農業への回帰が語られる
遺伝子組み換え技術や農薬に対する非難、有機農業への回帰が語られる

 農産物の「タネ」という、とても重要ではあるけれども多くの人がそれほど気にかけてないであろう存在に注目したドキュメンタリー。「種子」と言われると身近な果物のタネを思い起こすが、マメやコメ、コムギ、トウモロコシの粒なども広い意味では種子の仲間だ。本作の最初の30分は、人間がいかにして種子と一緒に生きてきたのかという歴史がアニメなどもまじえて面白く描かれ、一気に引き込まれる。

 この序盤が終わると、内容は「種子の多様性」の話になってくる。この多様性の話で最もわかりやすいのは、本作にも出てくるがアイルランドのジャガイモ飢饉だ。中世まではあまり豊かな土地ではなかったアイルランドは、大航海時代に入って南米からジャガイモが輸入されるようになると、食料不足が解消して一気に人口が増えた。痩せた土地でも育つジャガイモが風土に合っていたのだろう。

 ジャガイモ生産のピーク時には、実に人口の3割がジャガイモだけに食を依存する状態になっていたという。そこに突然の危機が訪れる。19世紀の半ばになってジャガイモの疫病がヨーロッパ全域で発生し、アイルランドのジャガイモも壊滅的な打撃を受けてしまったのだ。食料が絶対的に不足し、餓死者が大量に出た。当時の800万の人口のうち、一説には100万人が餓死。さらに200万人が国外に逃れたという数字もある。

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