2019/08/05 17:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「カーマイン・ストリート・ギター」

「カーマイン・ストリート・ギター」の一場面 (C)MMXVⅢ Sphinx Productions.
「カーマイン・ストリート・ギター」の一場面 (C)MMXVⅢ Sphinx Productions.

 カーマイン・ストリート・ギターは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある小さな楽器店の名前。ギター職人のリック・ケリーとその母親、それに職人見習いのシンディという若い女性の3人だけで営んでいる。このお店の特徴は、100年以上も経つような古いニューヨークの建物の廃材を使ってギターを製作しているということ。工事があるという情報を聞きつけると、リックは現場に行って廃材をもらってくる。それでギターを作るのだ。

 本作は、このギター屋さんに次々とやってくるミュージシャンたちが演奏し、リックと会話を交わし、そして帰っていくというその繰り返しだけで描かれている。とてもシンプルな映画だ。でも彼らが幸せそうにギターを奏でている様子を眺め、深く美しい音色にうっとりと聞き惚れているだけで、観客の側もとても幸せな気持ちに浸ることができる。社会的ななにかを訴えているわけではないけれど、ただ過ぎてゆく時間の心地よさをじっくりと味わえる。そんな映画である。

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