2019/08/20 06:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「ジョアン・ジルベルトを探して」

 ジョアンの元妻ミウシャに会いに行く。ミウシャにインタビューしていると、突然彼女の携帯電話に電話がかかってくる。対応して電話を切ったミウシャは「ジョアン・ジルベルトからだったわよ」とそっけなく言う。それを早く言ってくれ! あと一歩だったのに……。

 物語はカフカの小説を読んでいるように迷宮に入り込み、どこまで行っても、どうしてもジョアンにたどり着けない。

 でもその彷徨の過程で、さまざまな人々がボサノバの愛を語り、歌い、演奏し、そして美しいブラジルの風景が目の前を流れ、気がつけば観客はボサノバの鳴り響く音楽の空間のなかにどっぷりと心地よく浸っていることに気づく。そういう映画だ。

 世界で最初に録音されたボサノバの曲は、ジョアンの「想いあふれて」だと言われている。この曲の原題は「Chega De Saudade(シェガ・ジ・サウダージ)」。サウダージなんてもういらない、と訳せるだろうか。サウダージというポルトガル語は、ブラジルでは切ない思慕や想い、郷愁というような意味で使われている。

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