楽天WOMAN リニューアルのお知らせ ▶ 詳細はこちら
2019/12/31 20:00

【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「つつんで、ひらいて」

装幀家の菊地信義を追ったドキュメンタリー
装幀家の菊地信義を追ったドキュメンタリー

 ひとりの男が机の前に座り、紙をくしゃくしゃと丸めている。紙には「酒と戦後派」とプリントされていて、くしゃくしゃにすると文字がかすれ、ひびが入る。それをコピーし、男は「お、行けそうだ」とうなずく。この冒頭のシーンから、いきなり引き込まれる。

 本の装幀の大家として知られている菊地信義を題材に、新人映画監督の広瀬奈々子が奥深いブックデザインの世界を描いたドキュメンタリ。冒頭の画面から続いて印刷会社の風景に移り、作家古井由吉の短編集「雨の裾」のカバーが印刷されていく。「へえー金の箔押しってあんなふうに印刷するのか」といろいろ驚きがあり、印刷工程を眺めているだけでもとても面白い。

 できあがった「雨の裾」の見本を手に、楽しそうに菊地は語る。「この帯のトレーシングペーパーのもやもやは、一冊一冊全部違う。もし1万部刷ったら、1万部のバラエティがある」。表紙をめくった扉の赤を示し、「この色を出すのはたいへん至難でねえ。これは不透明性の白を一色刷って、その上に赤を乗せてるんだよ」

2020年運勢特集|楽天占い

今日の運勢

おひつじ座

全体運

あなたの考え方をハッキリ示そう。共鳴してくれる人が現れそう...もっと見る >