2017/09/26 12:00

「食えなければ飢え死にしなさい」その言葉が紀里谷和明のキャリアに火をつけた 対談小説:鏡征爾

紀里谷和明監督
紀里谷和明監督

 地獄に鳴る音楽のように、 この物語があなたに届きますように

●1 暗闇を光に

 長い暗闇を抜けると、煌(きら)びやかな六本木ヒルズの建物がみえる。

 日比谷線C出口、地下コンコース直結です。そんなグーグルマップの解釈に騙されるように、僕はインタビュー現場にやってきた。

 慣れない場所、慣れない機材、そして初めての対談――。

 指の震えは寒さのせいだけではなかった。

 そもそもの企画の発端は、単純だ。「若者の悩みに答える小説が書きたい」

 だが大手ポータルサイトで小説連載を開始することになったとき、普通に作家の私小説を書いてもつまらないんじゃないか。と思った。編集長の須田もぼさぼさのあたまで同意してくれた。

 私小説とは、日本文学の伝統につらなる表現形式で、私事を語ったもの。

 要するに作者の日常を語ったものだ。

 だから個人の悩みとは相性がいい。

 だけどここに、近代における共同性の問題が横たわる。

 共同性とは平たくいえば、「わかるわかる」という感覚。「ああそれみんな思ってるよね」という感覚。「その音楽みんなすきだよね」という感覚。だがそれが成り立たない、あるいは非常に成り立ちにくい時代に僕らはいる。

今日の運勢

おひつじ座

全体運

頭の回転がはやいけれど、少々毒舌気味。ツッコミは冗談が通じ...もっと見る >