2017/07/15 06:00

『黒革の手帖』女性Pが米倉涼子に吐かせた“どす黒い本音”

 
三輪祐見子さん(48・以下、三輪)「AD(アシスタントディレクター)時代は 駐車場取り  お弁当配り  控室の手配 の3つの仕事で忙殺される毎日。そんななかで、お酒が いけるクチ だったのは助かったかもしれません」
 
内山聖子さん(51・以下、内山)「 飲める とわかると付き合わされるよね」
 
三輪「余計に帰れなくなる」
 
内山「(仕事で)帰れないうえに、さらに帰れない。『またコンビニでパンツ買ってる  』なんてこともありました」
 
そう笑い合うのはテレビ朝日の2人の女性プロデューサー。三輪さんは沢村一樹主演『DOCTORS』や天海祐希主演『緊急取調室』、竹野内豊主演の『グッドパートナー』を、内山さんは米倉涼子主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』『黒革の手帖』『交渉人』を手がけ、ともに女性の支持が高い作品で注目を集めている。 男性社会 といわれるドラマの制作現場で奮闘する2人の女性が、作品に懸ける熱き思いを語り合ってくれた。
 
内山「私が入社したのは'88年。学校の先生になろうと教育実習している間に、就職試験がほぼ終わってしまい、テレビ朝日だけが残っていて  (笑)。当時は、男性と同じお給料で同じ仕事ができる職場はまだ珍しく、 記念受験 のつもりでした。受かったからには現場でバリバリ働こうと思っていたのですが、最初は秘書室に配属されて」
 
三輪「私は'92年入社です。小学生のとき、朝礼を生中継する放送クラブの活動をしているうちに『テレビ局に入りたい』と思うようになって。それに『3年B組金八先生』をはじめ、山田太一先生の作品やトレンディドラマなどが、ずっと好きだったんですよね。入社してから3年は宣伝部勤務で、その後、希望がかない、制作部に異動となりました」
 
その後、内山さんは'94年、三輪さんは'97年にドラマ部に配属。2人はプロデューサーとして頭角を現していく。それぞれが作品に込める熱い思いがある。
 
三輪「内山さんは テレビ朝日初の女性ドラマプロデューサー で、華々しく見えるのですが、実は水面下での水かきがすごい。ドラマづくりの地味な部分も、まるで 土木作業 のように黙々とこなして、 総合職のパイオニア として、時代を切り開いてくれました。私の世代は、先輩が懸命に耕してくれたところを受け継ぎ、次の世代につなげていかなければと思っています」
 
内山「私は『黒革の手帖』('04年)以来、強いヒロインものが好き。自分でドラマを見るときも、偽善的なキャラクターが苦手で、登場人物には、なかなか表に出せない 人間の本音 を言わせたいんです。たとえダーティであっても、本音で語るキャラクターづくりを大事にしています」
 
そんな内山さんが手がけたドラマ『黒革の手帖』のなかで、米倉涼子演じるヒロインが横領をした銀行の上司から「金を返せ」と迫られ、「初めて私の目を見て話してくれましたね」と返すシーンがある。
 
内山「これは私も味わった男性社会で 人間扱いされない 感じを表現したもの。 20代で結婚 が普通の時代に、社会に出た友人たちが会社でスポイルされ、辞めていくのを見てきた経験が大きいかもしれません。初めてヒロインに どす黒い本音 を言わせてもいいんだとも思えました」
 
三輪「みんな聞きたかったセリフですよね」
 
内山「そう。ドラマって、現実社会で生きている人の 心の中継 だと思うんです。このとき、『ドラマは女性が見ているんだ』ということも、再確認しました」
 
この夏、内山さんの『黒革の手帖』、三輪さんの『遺留捜査』と、手がけたドラマが放送される。
 
三輪「『遺留捜査』では今回初めて京都が舞台になりますが、一生懸命な主人公がブレずに、どう暴れるかを見てほしい。ドラマによって表現の仕方は違いますが、『一生懸命な人を主人公にしたい』というのが、私の基本テーマなんです」
 
内山「『黒革の手帖』に登場する 欲の強い ヒロインが、今のような 欲のない 時代に、 モンスター と捉えられるか、 正直な人 と感じられるか、わからないですが、『いえ、私なんか  』と欲張らない姿勢が本当に美しいの?ということは問いかけたい。『あれもしたい、これもしたい』と欲張って、頑張って、もちろんつらいこともあったけど、そのぶん楽しいこともたくさんあった私たちの世代――だからこそ、若い女性たちに『いっぱい欲張ったほうがいいんじゃない?』と伝えたいですね」

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