2017/08/02 16:00

83歳のITおばあちゃんが提言「帰省なんかしなくていい!」

 
「お盆だからって実家に帰る必要?ないない、まったくないですよ」
 
笑顔でこう断言するのは、ツイッターで全世界に9万人近いフォロワーを有する溝井喜久子さん(83)。間もなく8月。お盆を前に実家からの「帰省要求」に、気持ちが沈みがちな女性読者も少なくないはず。
 
既婚者ならば「夫の実家へのお土産は何がいい?」と思い悩み、子どもがいれば「祖父母に孫との時間を作ってあげなきゃ」と義務感にかられる。一方、未婚者は年々、年老いていく両親を思い、心が曇る。「結婚はまだ?」の言葉を飲み込む相手と差し向かいで食べる夕食なんて、味気ないことこのうえない。ましてや「渋滞数十キロ」「乗車率百数%」なんて帰省ラッシュに巻き込まれての大移動。交通費に大枚はたいて、ヘトヘトになって  あ〜、考えただけでも気が重い!
 
そこで本誌は、男女間や世代間の価値観の相違などについて、含蓄あふれる「つぶやき」で多くの人の心をつかみ、女性向け情報サイト「ウートピ」の記事も話題の溝井さんに、「それでも帰省しないとダメですか?」と率直に質問をぶつけてみた。その答えが冒頭の「まったく必要ない」だ。
 
「2年ほど前に夫が他界し、いま私は一人暮らし。長男は仙台のほうに住んでまして、結婚して孫もいますけど。何年かに1度しか帰ってきませんよ。向こうだって忙しいですからね。やっと取れた休みに、そうそう実家に帰省なんてできませんよね。私も事情がわかるから『毎年来て』なんて言わないし。それにこっちもね、来てもらったら困るとまでは言わないけれど  。うちに泊まるとなったら夜具の準備とか、ご飯の支度とか大変でしょ。小さな孫がチョロチョロしてたら、そりゃかわいいけれど、長いこと一緒にいたら疲れちゃうもの(笑)」(溝井さん・以下同)
 
お盆の帰省が、実家の親にとっても喜ばしいことばかりではないと、笑みを交えて語る溝井さん。「ただし」と付け加えた。
 
「私の場合は、帰省を強いることは決してないけれど、ふだんの連絡は密にとってますよ。孫の誕生日にお祝いするとか、うちは庭でぶどうを作っているから、採れたぶどうを送ったりとか。向こうは向こうで、母の日にプレゼントを贈ってくれたりね」
 
7年前から始めた日々のつぶやきも、離れて暮らす子どもたち家族とのコミュニケーションに一役買っている。
 
「長男も、その連れ合いや孫も、私のツイッターをちゃんと見てくれてるのね。私、3度の食事も、写真撮ってツイッターにアップしているから、それを見て『今日も元気にしてるな』って思ってもらえてると思いますよ。そう、私の場合、ツイッターが安否確認の役に立ってるの(笑)」
 
パソコン歴19年、溝井さんが駆使するツールは、ツイッターだけではない。「子どもたちとのやりとりによく使う」と、83歳の彼女の口から、立て続けにストレージサービス(ネット上のサーバーにデータを保管・共有するサービス)の名称がポンポンと飛び出し、驚かされる。
 
「『OneDrive』や『Dropbox』、それに『iCloud』も使ってます。そこに息子や孫が写真や動画を入れてくれて、共有してるんですよ。見たいときに動画の孫を見られるし、メールもじゃんじゃん来るしね。だから、実際には会えなくても寂しさは感じないのよね」
 
そんな溝井さんが帰省に気をもむ読者に対して、帰省以上に家族がつながるための3ステップを教えてくれた。
 
【1】親にiPadなどのタブレットを買う
 
「年寄りには、スマホの画面は小さすぎます。タブレットの操作はガラケーよりずっと簡単よ」
 
【2】親の家にWi-Fi環境を整える
 
「スマホやタブレットにはWi-Fiが必須。年寄りの家にこそWi-fiが必要です」
 
【3】共有した「写真・動画」と「メール」の見かたを教える
 
「まずクラウドサービスに動画や写真をアップして、『ここを触ると手紙(メール)が届くよ』『ここを押せば 動く孫 が見られるよ』と教える。自分で発信できなくても、見られるだけでいい。画面に触れるだけなら誰にだってできますよ」
 
ツイッターでさまざまな世代の人と交流する溝井さんによれば、そもそも子に対する親の「帰省要求」の根底にあるのは「年寄り同士のマウンティング、近所の目を気にしてのこと」と分析する。
 
「自分は子どもたちから気にかけてもらえてる、大切に思われて幸せなんだと言いたいんですね。『○○さんのお宅、ちっともお子さん帰ってこなくて。寂しそうで、お気の毒ね』って、そういう目で隣近所から見られるのだけは絶対にイヤなんですよ。だから、本当は苦労も多いのに『孫が来てるから、うるさいでしょ。ごめんなさいね』と、自慢げに話したいのね。でもね、お盆や正月に限らず、タブレットを使って、メールやストレージで子や孫と日常を共有できていたら、それで隣近所に自慢できるんですよ。タブレット見せながら『これが、うちの孫なの』って。動画なんて見せてあげたら、びっくりされて尊敬されるし、子どもが帰省してくる以上に、自慢できるはずですよ」

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