2018/01/16 17:00

日本人息子の仏語1位をキャベツケーキでお祝い!(辻仁成「ムスコ飯」エッセイ)

 
食事をしていると息子がボソッと「パパ、フランス語の成績がクラスでいちばんになったんだよ」と言ったのです。あまりに嬉しすぎて「そうか、よかったな」としか言えませんでしたが、本当は泣きそうでした。実は2年前、息子は学校の先生から落第の可能性を示唆されていました。そこからの快挙ですから、こんなに嬉しいことはありません。親が日本人なので、彼は独力でそこに到達したことになります。情けないことに、私は何も教えることができませんでした。
 
ある日、それは日曜日のことでしたが、サロンから男の人の声が聞こえてきました。息子が誰かと話をしているのです。驚いて飛んでいくと、スカイプ越しに、息子は友人のお父さんからフランス語を習っていたんです。人見知りで、人に気安くお願いできるような子ではありません。よっぽど切羽詰まっていたのでしょうね。私は「すまないな、お前にたいへんな思いをさせてしまって」と、しばらくの間廊下に立ち尽くしてしまいました。
 
どんな手を使っても成績を上げたいという彼の願いと努力が実り、ついに勝ち取ったいちばん。彼の喜びがどれほど大きかったことか。なのに、食事中にボソッと口にしただけ。目標はもっと上なのかもしれませんし、大学に入るまではまだ何年も頑張らないとならないことを知っているからでしょうか。だから私も泣くわけにはいきません。涙を堪えて黙々と食事をし、その日は「ゲームやっていいよ」とだけ言いました。父ちゃんは美味しいものを作ってやることしかできません。
 
なので、今夜は辻家最強の一品、キャベツケーキのトマトソース煮込みを作ることにしましょう。
 
キャベツケーキ材料:ちりめんキャベツ(なければ普通のキャベツでも可)1玉、牛ひき肉400g、ベーコン100g、パセリ少々、玉ねぎ2分の1個、柚子こしょう小さじ2、酒大さじ1、卵1個、パン粉40g、牛乳大さじ2、黒七味少々、生クリーム少々、オリーブオイル大さじ1。
 
トマトソース材料:にんじん1本、玉ねぎ2分の1個、パセリ少々、にんにく2片、トマトピューレ200g、牛ブイヨン1個、塩・こしょう適量、オリーブオイル適量。
 
まず、大きめの鍋で湯を沸かし、芯をくり抜いたキャベツを丸ごと入れ、10分ほど塩ゆでする。その間に、ベーコンとにんじんを粗いみじん切りに、パセリと玉ねぎをみじん切りに、それぞれカットしておく。ゆで上がったらお湯を切って冷まし、葉は1枚ずつ水分をしっかり取る。ボウルにキャベツ以外の材料をすべて入れ、しっかりこねれば、タネの完成。タネは4等分にする。そこで、直径20cmくらいのボウルにタコ糸を放射状にセットし、芯を除いたキャベツの葉を数枚敷き、その上にタネを敷き詰める。その上にまたキャベツを敷き、タネ、キャベツ  の順番に重ねていき、最後はキャベツでしっかり蓋をし、全体をタコ糸で縛る。しっかり形を整えたら、次はトマトソース作り。ココット(鋳物の鍋)にオリーブ油をひき、潰したにんにくを加え中火にかける。そこににんじん、玉ねぎ、パセリを加えてよく炒める。玉ねぎが透明になったらトマトピューレと水1カップ(分量外)に溶かした牛ブイヨンを加え、そこにキャベツケーキを入れ一煮立ちさせる。そして180度に予熱したオーブンにココットごと入れ、1時間半焼く。ソースの味を見て、お好みで塩・こしょうで味を調える。ココットがない場合は、鍋でソースを作り、キャベツケーキを加えて一煮立ちさせたら耐熱容器に移してアルミホイルなどで覆い、1時間半焼く。ケーキのように切り分けて出せば、家族は大喜び、頬っぺたが落ちるほどに美味しいキャベツケーキです!
 
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