2018/05/20 16:00

担当編集者との悲恋…「ピーターラビット」原作者の人生

(写真:大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館)
 
「ビアトリクス・ポターが描いた『ピーターラビット』シリーズの絵本は、世界110カ国で出版され、累計2億5,000万部の大ベストセラーとなっています」
 
こう話すのは『ピーターラビット』研究の第一人者の大東文化大学の河野芳英教授。初の実写映画化『ピーターラビット』(5月18日公開 ソニー・ピクチャーズ)が、注目を集めるいま、世界中で愛される『ピーターラビット』のトリビアを、河野教授に教えてもらった。
 
【トリビア1】結婚、事故死  妹たちを待つ未来
 
第1作の「ピーターラビットのおはなし」以降、およそ30年にわたり全24作品を発表したビアトリクス。ピーターには、長女のモプシー、次女のフロプシー、三女のカトンテールという3つ子の妹がいる。
 
「14作目『フロプシーのこどもたち』でフロプシーはいとこのベンジャミンと結婚。元気な6匹の母になります。カトンテールは18作目、『キツネどんのおはなし』に登場する黒ウサギと結婚。長女のモプシーは不慮の事故で亡くなったようです。ピーターは、お母さんと元気に暮らしているようです」(河野教授・以下同)
 
【トリビア2】妹・フロプシーに訪れた人生の試練
 
『フロプシーのこどもたち』で、キャベツをもらいにピーターと母のいる実家の畑を訪れたフロプシー夫婦。絵本では「分けてあげるキャベツがないこともありました」と綴られている。
 
「しかし挿絵では、お母さんがキャベツをスカートで隠しています。挿絵からは、『自分の食べ物は自分で調達しなければならない』というメッセージが感じられます。『ピーターラビット・シリーズ』はよく純文学といわれますが、それはハッピーなだけではないという人生の側面も描いているからこそでしょう」
 
【トリビア3】恋人の死去  ビアトリクスの悲恋
 
「ビアトリクスは、編集者ノーマンと仕事をしていくにつれて、恋人関係になります。しかし、親の反対を押し切り結婚の約束をした1カ月後、ノーマンは急性白血病により37歳という若さで急死してしまいます。当時、ビアトリクスは39歳でした」
 
その後、担当弁護士ウィリアム・ヒーリスと、47歳で結婚したという。
 
【トリビア4】私財を投げて守った絵本の舞台
 
恋人のノーマンが亡くなった年の12月、ビアトリクスは、絵本の舞台にもしていた湖水地方のなかで、彼女が特に気に入っていた「ヒルトップ農場」を購入する。
 
「その後彼女は、絵本の印税やキャラクターの商品の売り上げで、ヒルトップ農場をはじめ湖水地方の最大級の地主になりました。私財をなげうったことで、開発業者から湖水地方の自然を守ったのです。そして77歳で他界する際、遺言によって土地や農場などが保護団体ナショナル・トラストに寄贈されました」
 
ピーター誕生から100年以上がたっても、湖水地方は美しい景観を保っている。
 
【トリビア5】日本に絵本の世界を味わえる場所がある
 
埼玉県のこども自然動物公園内には「大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館」がある。
 
「湖水地方のヒルトップ農場を再現するため、 06年にオープンしました。自費出版した『私家版』や初版本をはじめ貴重な蔵書が展示されています。ビアトリクスの描いた世界を味わうことができます」
 
「かわいいだけじゃなく感動する」と、すでに映画の続編も2020年に決定! 原作からでも映画からでも、ピーターの世界に足を踏み入れてみてはどうですか!

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